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2019年12月27日金曜日

高知能者のコミュニケーショントラブル2:第8章 第8節 日本は自閉文化大国

第8章 ネットで広がる自閉的知能の生存空間

第8節 日本は自閉文化大国


(略)

 そういう視点で見ると、心当たりがたくさんあります。

 鳥獣戯画(12-13世紀)は動物を主人公としたマンガの先駆者でした。

 葛飾北斎(1760-1849年)はきわめて自閉的な性格をうかがわせる業績を残しています。彼が残した「略画早指南(りゃくがはやおしえ)」という絵の教本を見ると、円形・三角形・台形などをベースとした幾何学的な下絵が横に並べてあります。有名な「神奈川沖浪裏」にある波の図は、きれいなフィボナッチ数列が使われているとか。権力に興味がなく死ぬまで絵を描き続けたことも自閉っぽいですね。そして彼は晩年、「鉄棒ぬらぬら」というペンネームで春画を描いています。「どんなオッサンやねん!」とツッコミたくなるほど、向上心や好奇心に溢れた人だったのでしょう。

 歌川国芳(1798-1861年)はタヌキが自分の金〇で漁をしたり、船や傘や看板や暖房器具の代わりに自分の〇玉を使うというシュールな浮世絵を描いています。気になる方は参考資料集のウェブサイトにリンクを貼り付けておきますので、後で確認してください。


 つまり日本には昔から、このような作品を「創る人」「鑑賞する人」「カネを払う人」「保護する人」たちが揃っていたのです。きっと縄文時代にも土偶フィギュアをハアハア言いながら作っていたご先祖様がいたのでしょう。

 我々はそのような文化で育っているため、それらの作品や環境が当たり前だと思い込んでいます。しかし海外から見るとかなりショッキングなようで、海外のサイトで話題になってから日本に伝わってきたりします。

 やはりこれも日本人が当たり前だと思っていたことが海外で話題となり、日本で「再発見」されるパターンなのだと思います。

高知能者のコミュニケーショントラブル2:第7章 第3節 再現性・客観性・普遍性にこだわる

第7章 再現性の宗教=科学へのこだわり

 第3節 再現性・客観性・普遍性にこだわる



 自閉っぽい人々は、「機械的な動き」や「規則的な動き」が大好きです。

  • 条件を同じにすれば、その現象は間違いなく再現できるのか
  • 誰がやっても同じ結果になるのか
  • その現象が起こる原理は何か

 もしこの世に「真理」があるとするのなら、前提さえ同じであれば誰がやっても同じように動き、同じ結果にならなければなりません。つまり再現性客観性普遍性が必要だと考えます。それが彼らにとっての「神」であり、「宗教」なのです。

 自閉的知能を持つ人々の以下のような性質が、長い年月の間に科学技術を発展させました。そして今ではまるで魔法のような道具を、みな当たり前のように毎日使っているのです。


  • 自分の社会的地位や他人からの評価に興味がなく、論理や法則を探す性質がある。
  • 「結果がどうなったか」より、「なぜそうなったか」に興味がある
  • 定義や前提にこだわり、再現性や反証可能性を要求する。
  • 視覚優位で、本の虫で、過集中の「ゾーン」に入ると周りが見えなくなる。
  • 信仰心はそれなりにあるが、宗教をあまり信じない。


 科学者がすべて自閉的だとまでは言いません。しかしこれらの要素が皆無であれば、科学者として何かを成し遂げることは難しいのではないかと思います。

 自閉っぽい人々は社会の中でも少数派ではありましたが、科学技術をリードしてきたために人類の遺伝子プールのなかで淘汰されることなく生き延びることができました。そして少しずつ、人類全体を「自閉側」に引っ張ってきたのでしょう。その自閉的知能こそが他の野生動物との大きな違いであり、人類の繁栄を決定づけて来たのだと私は思います。そして今や人類はそれを自覚して、その能力を積極的に生かすことを考え始めたのです。

自閉っぽいから「障害」とは限らない。
むしろ現代では、高度な技術や知識を先導する素晴らしい素質だと言える。
それを周囲が理解しながら育て、適切な職業を選べば、社会を支える大きな戦力になる。


高知能者のコミュニケーショントラブル2:第5章 第2節 医師アスペルガーはASDを才能と見ていた

第5章 科学や芸術に貢献し続けた「自閉的知能」


 第2節 医師アスペルガーはASDを才能と見ていた



 オーストリアの医師ハンス・アスペルガーは、社会改革者でもあったエルヴィン・レーザーが開いた診療所の小児科で働き始めました。レーザーはたとえ反抗的で気難しい子供であっても、その中に潜在的な資質を見出す能力を持っていました。子供たちを「患者」ではなく、将来の「パン職人」「教授」「エンジニア」として見ていました。

 そこでの診療は集中観察と呼ばれるもので、子供の日常生活や遊びをつぶさに観察することでした。体系的な理論はなく職人芸的なものではありましたが、「子供の生まれ持った能力や変えられる部分、異常行動の原因を明らかにして、どうすることがその子の幸せにつながり家庭や社会の中で居場所を見つけることができるのか、そしてその子の夢を実現させる方法を発見すること」を目指していました。


 アスペルガーたちは10年間に「不器用だが知能は早熟で」「規則性やスケジュールに魅了される」など類似の特徴を持つ200人以上の子供を診察しました。その子たちには神童と呼ばれていても反抗的で退学になっていたり、服を着たり風呂に入ったり歯を磨いたりなどの生活習慣を身につけられなかったり、スポーツの技能が劣るために笑われたりなどの特徴がありました。

 彼らは矛盾に満ちた存在でした。ませているのに子供っぽく、洗練されているようで世間知らずであり、不器用だが礼儀正しく、言葉の音楽的側面に敏感でありながら相互的な言葉のやりとりのタイミングには鈍感でした。これは「かならずしも珍しいわけではない」にもかかわらず、今まで見落とされてきたパターンの障害であるとアスペルガーは考えました。

 「自分の目的を断固として追い求める反面、他人からどう見られるかということには無関心だった」「あらゆることにおいて外部世界とは無関係に、自らの衝動と関心に従う」

 アスペルガーには自閉症が遺伝的なものであることがわかっていました。「どんな症例でも両親や親戚のだれかと共通の特質をもった人間をみつけることができた」からです。また「彼らは周囲の世界について驚くほど大量の情報を理解し、処理している」として自閉症者が他者からの視線を意図的に避けているわけではないことにも気づいていました。

 またアスペルガーは自閉症者の科学の才能に着目しました。「観察の際に本質を見抜く独特な目を持っている。事実を体系的に整理し、難しい作業であっても自分の理論を作り上げてゆく」。「アスペルガーは1950年代に宇宙探索が始まると、宇宙船のデザイナーはみんな自閉症の人たちなのだと主張するようになった。」「権力へのあからさまな無関心が、科学者にとって不可欠な無神論に行き着く」「自閉症の子供たちは身の回りの物や出来事を、しばしば新しい視点から見る能力を持っている。」「例えば、抽象化の能力は、科学的な試みには必要不可欠である」なとど記述されています。

 アスペルガーはこうした自閉症者特有の素質・技能・態度・能力をまとめて「自閉的知能」と命名し、自閉症者が人類の歴史の中で果たした貢献は正当に評価されてこなかったと主張しました。


 ただしアスペルガーは、自閉症を手放しで礼賛していたわけではありません。「残念なことに多くの症例では、障害であることによるプラスの面がマイナスの面を上回ることはない」と認めています。「学校の成績は芳しくなく、自分の身なりに構わず、道で知人とすれ違っても全然気づかない子供」が名門大学で准教授のポストを得たあとであっても、彼のふるまいがまだ「非常にがさつであった」と記しているほどです。

 ASDの子供は他人と距離を置いているため、子供同士を競わせるようなやり方は通用しないとアスペルガーは学んだようです。その代わり彼らは論理性・普遍の法則・客観的な本質を探し求めるとのこと。自分の興味を追い求めたいという衝動に突き動かされ、自分のために学習します。先生や他の生徒にどう思われているかには興味がなく、褒め言葉も効果がありません。アスペルガーの見立てによると、ASDの子供たちにとって最適な先生とは

みなと同じことを強要せず、
不完全なまま受け入れてくれる人物

であるとのことでした。「要するに、教師自らが『自閉症的』にならなければならない」とまで書いたようです。

(これは日本で名門校ほど校則が緩く、生徒の自主性に任せる「放牧型教育」が多いことに通じているような気がします。また前著にも書いたように、そのような学校には「お仲間」である発達障害っぽい先生方がゴロゴロしています。やはり高知能者にとって楽園なのです)

(略)

高知能者のコミュニケーショントラブル2:第3章 第6節 アスペだから知能指数が高いわけではないが


第3章 高知能者と自閉症 

第6節 アスペだから知能指数が高いわけではないが





(略)

 そして130以上の絶対的高知能者の領域に着目すると、アスペルガー症候群の子供の比率が上回っている領域すらあります。つまり

アスペルガー症候群の子供の知能は平均すれば低いかもしれないが、分布が広いために「知能が高い子供を集めたらアスペルガー症候群の比率がどんどん高くなる」可能性はある

 ということです。


 すると日本では、難関大学になるほどアスペ比率が高くなる現象も不思議ではありません。興味や目標が『学ぶこと』のほうに『たまたま』一致した自閉っぽい子供たちは、高い記憶力や集中力を生かして試験でハイスコアを叩き出すでしょう。そして本人たちは、それほど努力や苦労をした覚えはないはずです。本人や家族すら気付いていない「隠れアスペ」「プチ自閉」まで含めると、かなりの比率になるのではないでしょうか。

 ただしその後は自分の特性を生かした職種や職場を選ばないと、みなが普通にできていることができないという悩みに直面してしまうわけです。


 一方で標準偏差が大きいということは、知能的に全く恵まれない子供たちも正規分布の反対側に多く存在しているはずです。それは図表 11の左側を見ても容易に想像できるでしょう。

 しかしその場合はおそらく他の併存疾患などがあり、「知能や言語の遅れがない」というアスペルガー症候群の定義から外れてしまうのかもしれません。やはり自閉的な性質が強すぎると、様々なリスクが高くなってしまうのだと感じます。


高知能者のコミュニケーショントラブル2:第1章 第1節 そもそも、誰の説なのか?

第1章 やはり、「下から上は理解できない」

 第1節 そもそも、誰の説なのか?


 この章では、前著で書き損ねたことをフォローします。少しズレた話題も押し込んでありますがご容赦ください。

 「IQが20違うと会話が通じない」

 という説は、もちろん私が言い出した言葉ではありません。

 検索すると、2015年あたりからその俗説が広まって盛り上がっていたような感じです。単なる書き込みだけなら2007年のものがあります。


 英語も含めて検索すると、「IQ30のコミュニケーションレンジ (30 IQ point communication range) 」という言葉が出て来ます。知能指数が20の違いではなく、30の違いということのようです。

 さらに遡ると、もともとレタ・ホリングワース(Leta Hollingworth 1886-1939)という心理学者が、1926年に以下のような研究結果を発表したと書かれています。ただしホリングワース自身はそのときコミュニケーションレンジという言葉を使わなかったのですが、1987年に別の人が名付けたようです。

  • 同年代の子供たちの間でリーダーになるには、他の子供よりIQが高くなくてはならない
  • しかし30以上高すぎるとコミュニケーションがうまく行かず、リーダーにもなれないし尊敬もされない

 なんと90年以上前の、子供のリーダーシップに関する研究が元ネタだったのですね。

 しかし人間の行動(特に集団心理)は大昔からそれほど変わっていませんし、子供と大人でリーダーシップやコミュニケーションの本質が大きく変わるとは思いません。

 古い研究でありながら、今なお通用する真理ではないかと思います。


 さて、前作で私が研究や仮説などのソースを示さないことが気になっていた方々もいると思います。ちゃんとした著作や論文を読み慣れている人は、なおさらそう感じたことでしょう。

 それはまさに正論で、著作の参考文献やリンクは書物に明示すべきなのです。しかし以下の理由により、正確さや厳密さに欠けたことは否めません。


  • 前作は一刻も早く世に出さなくてはならないと考えた。
     
  • 参考にしたサイトがあまりにも面白く、寄り道が長くなると全体像が頭に入りにくくなる。それよりもまずは読みやすさ、わかりやすさを優先した。
     
  • アマゾンKDPのルール上、どこまで外部リンクして良いものか判断できなかった。あまりにもリンクが多くなると、出版を拒否されるのではないかと危惧した。
     
  • 参考にしたサイトが又聞きやコピペかもしれず、それがオリジナルであるというところまで調査が至らなかった。


 今回はその反省に立ち、参考にさせてもらった論文・書籍・サイトをまとめたポータルサイトを作成しました。本書を読みながらでも参考にしてください。ただしどの記事も興味深いので、深入りしすぎて人生を台無しにしないようお気をつけください。

高知能者のコミュニケーショントラブル2:まえがき:人間は自閉症のサルなのか

まえがき:人間は自閉症のサルなのか


 前著「高知能者のコミュニケーショントラブル - IQが20違うと会話が通じない」は、おかげさまで出版以来1年3ヶ月が経っても好評を博しています。

 読者レビューや感想などを読んでみると、高知能者たちが悩み、苦しみ、擬態せざるを得なかったことを改めて思い知りました。私としてもこれまでは書いたものを「褒められた」経験はあるのですが、これほど「感謝された」経験は初めてだと思います。そのような人々に少しばかりの光明を見せることができたのであれば、執筆した甲斐があったというものです。


 さてその続編となる本書では、高知能者が持つ「普通と違う感覚」に焦点を当ててみました。たとえば「文字や数字に色・音・匂いがあると感じる」共感覚というものがあります。これは極端な例ですが、他人と違う感覚を持っているのであれば世界の見え方や考え方、あるいは他人との付き合い方が全く違うようになってもおかしくありません。そのような人々は、教育法や職業選択やライフスタイルまで変わって来るはずなのです。

 しかしこのことを調べてゆくうちに、その特殊な感覚は自閉症などの発達障害と共通する部分が多いことに気が付きました。

 「アスペルガー症候群」の語源となったオーストリアの医師ハンス・アスペルガーも、同じことに気付いたひとりでした。彼は自閉症者が極めて高い集中力視覚優位の性質を持ち、「分析的思考力」「論理的推論」「パターン認識」「芸術的才能」に溢れていることに気付きました。それらの素質・技能・態度・能力をまとめて「自閉的知能」と命名し、自閉症者が人類の歴史の中で果たした貢献は正当に評価されてこなかったと主張しました。


 しかしよくよく考えて見ると、我々は程度の差こそあれ野生動物に比べたらみな自閉的です。そうでなければ小学生のうちから全員おとなしく椅子に座って授業を受け、ノートを取ったり絵を描いたりは出来ないでしょう。

そのことを思うと私は

そもそも人類は自閉的知能が高すぎて群れから追い出されたか、自分から出て行ったチンパンジーではないのか?

と考えてしまうのです。

 人類は科学技術・芸術・社会制度などを発展させ、いまや世界人口が77億人に達するほどの繁栄を謳歌しています。しかし同じ霊長目ヒト科の仲間であるチンパンジー・ゴリラ・オランウータンなどは絶滅が危惧されています。その差を決定づけたものがこの自閉的知能ではないかと思うのです。


 本書は「自閉的な性質は悪いことではない。むしろ配合具合によっては現代社会においてかなり有利な特徴である」という考えに基づいて書いています。

 現代社会では、適度な自閉的知能を持っている人々にとってますます有利な方向に進んでいます。その特徴である「高い記憶力」「科学技術や芸術のセンス」「過集中」「視覚優位」などの能力を生かせば、文明社会で良い地位を占める可能性が高くなるからです。

 一方でこの性質は、強ければ強いほど良いというものでもありません。それと引き換えに「人の気持ちがわからなかったり」「失礼なことばかり言ってしまったり」「コミュニケーションが苦手だったり」「同じことを繰り返したり」「こだわりが強すぎたり」「パニック起こしたり」などの問題が発生するからです。この症状が強くて通常の生活が送れなくなると自閉症と呼ばれます。また睡眠障害・知的障害・ADHD・不安障害などの併存疾患にかかる確率も高くなります。

 「人類は自閉的知能を持ったサル」と考えるのであれば、ヒトの群れの中で自閉っぽさが強すぎても弱すぎても違った悩みが発生するでしょう。我々はみな「自閉的なサル」にしか過ぎないのに、平均から外れた者に対して「あいつは自閉が過ぎる」「あいつは自閉的知能が足りない」と異端視しているだけなのかもしれません。しかし我々はお互いに、遺伝子という「天の配剤」が少し違っただけの「そうであったかもしれない自分自身」なのです。


 近年、「自閉症は遺伝的性質であり治療するような性質のものではない」と言われるようになりました。そして自閉的知能が文明の発展に貢献してきたことを研究でとりあげ、その性質を前向きに考える人々も増えました。ただそう思えるのは自閉がごく軽い人に限った話で、重篤な症状を抱える本人や家族にとっては能天気な絵空事にしか思えなかったことでしょう。しかし最近は研究が急ピッチで進んでおり、自閉症治療への可能性も少しずつ見えてきています。

 これまで人類のうち一部の家系は、そのように生存能力の凹凸(おうとつ)を補いながら生き延びてきたのではないかと考えます。一族の中で飛び抜けた知能や異能を持つ者が時々にでも現れたら、その一族は栄える可能性が高くなります。たとえその能力と引き換えに重篤な障害を抱えるリスクがあったとしても、一族全体としてはカバーすることができたのです。その結果、今でも自閉的高知能者を生み出す一族が存在しているのでしょう。

 そのメカニズムは人類全体にも言えます。周囲とは変わった遺伝子が少しだけ混ざっていた方が、グループ全体として多様性が確保され繁栄する確率が高まるのです。


 すると自閉に限らずですが、発達障害の人々に対してその「異能」を生かせるように周囲でサポートしたほうが良いということになります。生まれつき苦手なことをやらせようとするより、そちらのほうが生産的だからです。

 この考え方はニューロダイバーシティ(神経学的多様性)と呼ばれ、世界で急速に広がりつつあります。一部の国では教育や雇用にその考え方を取り入れ始めました。しかし日本は「多様性重視」の掛け声とは裏腹に、「空気が読めない人」や「コミュ障」を排除してその流れに逆行しているようにも見えます。

 もともと日本人の変人ポテンシャル=自閉的知能は世界トップレベルです。これまで文明の発展に寄与してきたことを密かに誇り、PCやネットによって能力をさらに生かせる環境になったことを喜びましょう。発達障害っぽい仲間は世界中に大勢いて、あなたが人生を豊かに過ごすことを一緒に願っているのです。また世界が急速にそのような方向に向かっていることは、自閉的でない高知能者たちにとっても参考になると思います。


 今回は執筆に使った資料等をウェブページにまとめました。

 出典や根拠を確認したいときや、追加情報を入手したいときにご覧ください。

 参考資料等ポータルサイト_高知能者のコミュニケーショントラブル2


電子書籍出版のお知らせ:「高知能者のコミュニケーショントラブル2 - 人間は自閉的知能を持ったサルである」 の目次と内容を一部お見せします



下記の電子書籍を2019年12月27日に発売しました。

目次と内容を一部お見せします。




[電子書籍]

高知能者のコミュニケーショントラブル2 - 人間は自閉的知能を持ったサルである






 人間は自閉的知能を持ったサルである!

 自閉症的な人々は極めて高い集中力や視覚優位の性質を持ち、「分析的思考力」「論理的推論」「パターン認識」「芸術的才能」に溢れている。「アスペルガー症候群」の語源となったオーストリアの医師ハンス・アスペルガーはそのことに気付き、それらの素質・技能・態度・能力をまとめて「自閉的知能」と命名して「自閉症者が人類の歴史の中で果たした貢献は正当に評価されてこなかった」と主張した。

 それに賛同する研究者は近年になって増え、ニューロダイバーシティ(神経学的多様性)という考え方が広まっている。発達障害などは神経学的な多様性でしかなく、普通の人(定型発達者)とは違った能力を社会の中でどう生かすかを考えるべきという考え方である。企業や政府でも自閉者の異能を活用する動きが活発化している。

 こうして考えると、「そもそも人類は自閉的知能が高すぎて群れから追い出されたか、自分から出て行ったチンパンジーではないのか?」と思えてくる。自閉的な人々がちょいちょいと袖を引っ張るように科学技術や芸術の発展を促したことによって、人類は長い年月の間に他の野生動物とは全く違った生活をするようになったと考えるからだ。

 現代文明では有利に見える自閉的な性質も、強すぎると他の発達障害・精神障害・身体疾患など併存疾患のリスクが高まってしまう。それが良い具合にブレンドされると良いが、「神の配剤」が狂ってしまうと本人や家族の苦労が絶えない。それでも我々は多様性を受け入れ、共に未来を切り開くべきであろう。(約113,000字)


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今回は情報源等をフォローするため

参考資料等ポータルサイト

を用意しました!
読みながら参照するも良し、最後に一気に読むも良しです。
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第1章 やはり、「下から上は理解できない」

 第2節 絶対的高知能、相対的高知能
 第3節 やはり、「下から上は理解できない」
 第4節 知的水準が高すぎると大衆に売れない
 第5節 成績が悪いと「怠けている」と思われる
 第6節 神童が大人になっても意外と普通?
 第7節 高知能団体も「上には上がいる」
 第8節 高知能ソサエティの役割

第2章 独特の鋭い感覚

 第1節 百科事典が好きな子は特別知能が高い
 第2節 「宇宙が広すぎる」と泣き出す子供
 第3節 知識があれば恐怖の対象が違う
 第4節 概念に色・におい・音がついている「共感覚」
 第5節 共感覚者は普通の人をどう思っているか

第3章 高知能者と自閉症

 第1節 発達障害と特殊能力
 第2節 自閉症の「三つ組の障害」
 第3節 サヴァン症候群は自閉症者に多い?
 第4節 発達障害の併存状況
 第5節 東大生の25%はアスペ
 第7節 感覚過敏と強いこだわり
 第8節 視覚優位で聴覚劣位
 第9節 過集中とネット中毒

第4章 残酷な「天の配剤」:併存疾患と依存症のリスク

 第1節 自閉症は併存疾患が多い
 第2節 発達障害と依存症
 第3節 気付かれにくい聴覚認知障害(APD)
 第4節 記憶力とワーキングメモリ
 第5節 「遅刻が多い」と言われる理由

第5章 科学や芸術に貢献し続けた「自閉的知能」

 第1節 スティーブ・シルバーマン著「自閉症の世界」要約
 第3節 アメリカでは遠回りした自閉症研究
 第4節 自閉症スペクトラムという考え方
 第5節 映画「レインマン」で世間に知られる
 第6節 サヴァン症候群とアスペルガー症候群の違い
 第7節 PCとネットで花開いた自閉症文化
 第8節 ニューロダイバーシティ(神経多様性)が繁栄のカギ

第6章 文明社会を支える自閉的遺伝子

 第1節 自閉症者から見た世界 - 定型発達(NT)症候群
 第2節 正反対の価値観
 第3節 チンパンジーとの差は自閉的遺伝子か
 第4節 マイペースで我が道を行く
 第5節 文書で知識を蓄積する
 第6節 詐欺や誘導に引っかかりにくい
 第7節 公平な法治国家の担い手(少数派であっても意見を曲げない)
 第8節 「自走式仕事マシン」への接し方

第7章 再現性の宗教=科学へのこだわり

 第1節 雷を支配するサル
 第2節 宗教への懐疑
 第4節 日本人の自閉的知能は世界トップクラス
 第5節 イグ・ノーベル賞で変人国家のお墨付き
 第6節 素材や部品産業への適正
 第7節 ただし「システム化」「グローバル化」では米国ひとり勝ち
 第8節 自閉的知能を軽視すれば科学技術に遅れをとる

第8章 ネットで広がる自閉的知能の生存空間

 第1節 自閉的知能のもうひとつの側面 - 芸術的才能
 第2節 自閉同士なら共感できる
 第3節 PCが才能を増幅し、ネットが表現の場を与えた
 第4節 「ネットで人気」からメジャーデビューへ
 第5節 変わるゲートキーパーの役割
 第6節 みんながテレビ局や出版社を持つ時代
 第7節 マスメディアを見る人が減った理由

第9章 やはり「人間は自閉的知能を持ったサル」である

 第1節 自閉的知能者だけで社会は回らない
 第2節 過剰に家畜化されたカイコは幸せか
 第3節 ミトコンドリアのような共生関係
 第4節 「袖を引っ張る」ぐらいの力でも
 第5節 視覚優位は進化の証か
 第6節 能力の代償としての生きづらさ
 第7節 国や企業も「異能」として活用を始める

あとがき:自閉化する世界とネオ人類


2019年12月26日木曜日

高知能者のコミュニケーショントラブル2:第4章 第6節 原因の特定と治療可能性


誠に申し訳ございません。

m(_ _)m

発売直後(2019年12月27日)のバージョンには、この節が含まれていません。

そのときまでは世の中で言われているように「自閉症の治療は不可能」という前提で書いていました。しかし「自閉症の科学」シリーズを読み、最近では急速に原因究明が進んで自閉症に関連する多数の遺伝子に影響を及ぼす分子が見つかったところまで来ていることを知りました。
 ということで第9章第7節「完全に治せないなら前を向くしかない」を削除し、代わりにこの節を挿入してします。

せっかく発売直後に買っていただいたのに、誠に申し訳ありませんでした。



第4章 残酷な「天の配剤」:併存疾患と依存症のリスク
 第6節 原因の特定と治療可能性


 多くの本やサイトには「現代の医学では自閉症の根本原因を治療することはできない」と書いてあります。確かに少し前までは、100以上の遺伝子が関係するとなればどうやって治せば良いのか見当もつかなかったことでしょう。

 たとえそうであっても症状が軽い「プチ自閉」「隠れアスペ」ぐらいの人々には問題になりません。むしろ開き直って、自分の特性を生かすことを考えれば良いのです。

 一方で重篤な症状を抱える本人や家族は、絶望的な気持ちから抜け出すことができなかったのではないかと思います。

 しかし最近では研究が急ピッチで進み、治療に可能性を見出すような記事が散見されるようになりました。
 
将来的には治せるようになるかもしれない 

という期待が高まりつつあるのです。

 私が特に面白いと思ったのは、オール・アバウト・サイエンス・ジャパン(AASJ)代表理事の西川伸一さんが連載していた「自閉症の科学」という記事でした。私はこれをYahoo!JAPAN(個人)で目にしたのですが、今ではAASJのウェブサイトから読むことができます。参考資料ウェブページにもリンクを貼っておきますのでご参照ください。どの記事も興味深いのですが、ここではごく一部だけかいつまんでご紹介します。

【抜粋部分の概要】


  • 自閉症は主に遺伝によるもので、発生時(母親の胎内にいるとき)と発達時期(4歳ぐらいまで)の脳回路の形成の異常として発生することはほぼ間違いない。関係する遺伝子は100以上ある。発生過程の大きな変化によるものは、発症までのメカニズムの理解も進んでいる。
     
  • 遺伝的要因のほかにも母体がさらされている低栄養、アルコール、感染、発熱、炎症、そして神経刺激物質(治療薬や農薬を含むあらゆる神経刺激物質)など様々な外的要因によっても自閉症のリスクは高まる。
     
  • たとえば風邪やインフルエンザなどで妊婦さんに炎症が起こってしまうと、胎児の脳の発達に影響して自閉症などの発症率が上がる。妊娠のある時期に炎症が起こると胎児のワーキングメモリが低くなる傾向がある。
     
  • セロトニンやオキシトシンの分泌を増加させることで、一過性ではあるものの社会性を若干回復させることができそうだ。
     
  • 初めてASDと自閉症リスク遺伝子セットを結合している分子の手がかりが見つかった。自閉症リスク遺伝子として特定された遺伝子のmRNAの多くがCPEB4と結合する。CPEB4 mRNAの中の、4番目のエクソンが欠損しているmRNAの比率が、突発性ASDでは高いことが明らかになった
     

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以下、抜粋
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自閉症の科学2 遺伝的自閉症の治療可能性 より


 (略)自閉症は、一卵性双生児での発症の一致率が高く、遺伝性があることは間違いがない。しかしこれまで強くASDと関係があることが示された遺伝子は100種類近くに上り、また弱い相関は倍以上の遺伝子で見つかっている。個々の例は、これら何十もの遺伝子の小さな違いが組み合わさって発症に関わっていると考えられる。

 (略)それでも、特定の遺伝子の突然変異で、発生過程の大きな変化が起こってしまい、その結果としてASDが起こる場合がある。このうち最も研究が進んでいるのが、Fragile X、Rett症候群、MECP2重複症で、ASD発症までのメカニズムの理解も進んでいる。

 (略)この研究では、FXS患者さんからiPSを作成し、この細胞に目的の場所を標識するガイドRNAとCas9-Tet1を導入することで、見事に遺伝子自体を全く変化させることなく、FMR1のCGG繰り返し配列のメチル基を外し、遺伝子の機能を復元することに成功している。この結果、FMR1遺伝子は活動を始め、正常な神経細胞に分化することができる。

 以上の結果から、FXSの変異でなぜFMR1遺伝子の機能がなくなるのか、またそれを治療するにはどうすればいいのかの方法が確立された。(略)



自閉症の科学3: 幼児期の脳波検査の意味 より


 (略)自閉症スペクトラム(ASD)が主に発生時と発達時期の脳回路の形成の異常として発生することはほぼ間違いのない事実と考えられるようになっている。原因として複雑な遺伝子変化の組み合わせによる遺伝的要因が大きいが、母体がさらされている低栄養、アルコール、感染、発熱、炎症、そして神経刺激物質(治療薬や農薬を含むあらゆる神経刺激物質)など様々な外的要因によっても発症リスクが高まる。(略)



自閉症の科学5:妊娠中の炎症が脳に及ぼす影響を探る より


 *IL-16や17は炎症を示すパラメータの一種
 (略)風邪やインフルエンザなど様々な原因で妊婦さんに炎症が起こってしまうと、胎児の脳の発達に影響して自閉症などの発症率が上がることは、多くの妊婦さんとその子供を追跡する調査(疫学的調査)により確かめられています。(略)


  1. ある対象にフォーカスを当てるときに働く領域と脳活動の安定性維持に関わる回路の間の結合性、
  2. 空間的な注意に関わる幾つかの領域間の結合性、
  3. 視覚を介した注意に関わる幾つかの領域間の結合性


がIL-6が高かったお母さんから生まれた新生児では、特に低下することがわかってきました。

 MRI検査と脳の機能検査が集められているデータベースを用いてそれぞれの回路と脳の機能との相関を調べると、今回の研究で明らかになったネットワークの多くが、刻々と入ってくる情報を一時的に維持して、統合するために働いている、「作業記憶:ワーキングメモリー」に深く関わっていることが見えてきました。

 そこで、MRI検査を行った新生児の中から選んだ46人が2歳になるのを待って、作業記憶の検査を行い、特に妊娠第3期のIL-6濃度と作業記憶が逆相関することを明らかにしています。(略)



自閉症の科学13:光遺伝学を使った動物実験 より

(略)研究ではまず、NAcとDRをつなぐセロトニン神経回路が社会性を支配しているか調べている。方法は、DRのセロトニン神経に光で興奮させるチャンネルロドプシンを発現させ、この刺激によりセロトニンがNAcで分泌されると社会性が高まるかを調べている。DR領域に光を当てても、またNAcに来ているDRからのセロトニン神経端末に光を当てても、同じように社会性が高まることから、DRからNAcへ伸びるセロトニンニューロンが社会性を支配する回路であることが確認できる。もちろん、光遺伝学的にこの神経結合を阻害する実験も行い、この回路の働きが落ちると社会性が低下することを確認している。

 次は16p11欠損を再現した自閉症モデルマウスでこの回路を調べている。この遺伝子領域を生後すぐに欠損させると、確かに社会性の低下が見られる。そしてこの症状に対応して、DRのセロトニン神経細胞の興奮が強く押さえられていることがわかる。そこで、この神経を光遺伝学的に刺激してセロトニンを分泌させた時に症状が改善するか調べると、期待通りNAcに来ているDRの端末からのセロトニン分泌を誘導したときだけ社会性が改善する。詳細は省くが、この回路でのセロトニン分泌だけが社会性を回復させる効果があることを様々な実験で確認している。(略)

 結果は以上で、一過性とはいえ、セロトニン分泌回路をうまく刺激できれば、16q11変異を持つ自閉症の社会性を回復させられる可能性を示す重要な結果だと思う。同時に、現在行われているオキシトシンによる治療を、基礎脳科学からに支持している結果だと言える。残念ながら、この研究はセロトニン分泌の社会性への影響は一過性であることを示した。おそらく同じことはオキシトシン治療にも言えるだろう。しかしこのような結果を考慮した上で、さらに有効な治療プロトコルが開発されることを期待したい。(略)



自閉症の科学14: 注目すべき自閉症の遺伝子研究(エクソン4が欠損したCPEB4)より

(略)CPEB4は全てのmRNAと結合するわけではなく、支配するmRNAは3000種類ほどだ。そして驚くことに、これまでのゲノム研究で自閉症リスク遺伝子として特定された遺伝子のmRNAの多くがCPEB4と結合することが明らかになった。すなわち、初めてASDと自閉症リスク遺伝子セットを結合している分子の手がかりが見つかった

 (略)ではASDの人と、一般の人のCPEB4に何か違いがあるのか?もちろん遺伝子自体の変異はないが、CPEB4 mRNAの中の、4番目のエクソンが欠損しているmRNAの比率が、突発性ASDでは高いことが明らかになった。
4番目のエクソンが欠けた遺伝を持つマウスはASDの症状が出る
最後に、人の自閉症に症特異的に見られた4番目のエクソンが欠けたCPEB4遺伝子を導入した遺伝子改変マウスを作成し脳を調べると、多くのASDリスク遺伝子のpolyAが短くなり、タンパク質への翻訳が低下し、そしてその結果マウスが自閉症に似た症状を示すことがわかった。一方、単純にCPEB4を神経細胞からノックアウトしただけでは、このような変化は見られず、エクソン4の欠けたCPEB4が多い時にASDの様な症状が起こることが明らかになった。(略)

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以上、抜粋終わり
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 このうち一時的な対症療法としては、「セロトニンやオキシトシンの分泌を増やす」薬の開発が進んでいます。たとえば日本でも2018年6月、日本医療研究開発機構・浜松医科大学・金沢大学・名古屋大学・福井大学などの共同研究チームは自閉症の対人コミュニケーション障害に対する治療薬として期待されるオキシトシン経鼻スプレーの治療効果を検証しました。

 これによると主要評価項目である「対人場面での振る舞い」には(偽薬投入の対照群と比較して)有意差はなかったものの、服地評価項目である「常同行動」「限定的興味」には有意差が認められました。また「話しかけられる際に相手の目もとを見る時間の比率」が優位に増えました。これは根本治療ではありませんが、症状の改善に役立つものと期待されています。


 一方で根本的な治療となると、妊娠から4歳ぐらいまでの脳回路の形成時期に自閉症の兆候を発見して対処をすることになりそうです。遺伝子操作をするのか、万能細胞で補うのか、薬などで体内環境を変えるのかはわかりません。ただしいずれの場合も「たとえ親の希望であったとしても人間の脳回路形成を他人が操作して良いのか」という倫理的な問題に直面することになると思います。

 脳回路が形成された後に自閉症の治療を行うことは、さらに技術的なハードルが高いことでしょう。しかし最近の科学技術の発展スピードを見ると、それも将来的には不可能ではなくなるような気がしてきます。

参考資料等(高知能2) 全体に影響を与えたリンク・本・論文など

参考資料等(高知能2) 全体に影響を与えたリンク・本・論文など



西川伸一さん 自閉症の科学


このシリーズは最新の研究をわかりやすく説明しており、非常に参考になりました。遺伝子解析が進んで難しいと思われた自閉症の「治療」に少しだけ光明が見えてきた現状なども伺えます。

西川伸一さん 自閉症の科学 記事一覧


自閉症傾向は人類進化において重要であるという説

上記の西川伸一さんをはじめ、様々なところで紹介しています。
こちらにまとめました。

自閉症傾向は人類進化において重要



スティーブ・シルバーマン著「自閉症の世界」


この本に関しては第五章をまるまる使って解説しました。しかし正直なところ日本語版は読みにくかったです。専門家と思われる方々から「大事なところがバッサリ省略されて主題がすり替わっており、語訳も多い」との批判がありました。

スティーブ・シルバーマン 「自閉症の世界」関連情報



尾崎紀夫さん 自閉スペクトラム症を中心とした神経発達症について

併存疾患のところでも紹介していますが、非常に良くまとまっていて参考になりました。

自閉スペクトラム症を中心とした神経発達症について
尾崎紀夫さん
内閣官房教育再生実行会議有識者勉強会2015年12月

参考資料等(高知能2) その他、興味深かった資料

参考資料等(高知能2) その他、興味深かった資料


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このまとめは本当に面白いです。コメント欄に4000件ぐらいありましたが、展開が面白く全部読んでしまいました。
 
高IQの人が抱える悩みとは『高IQの人間が抱えるあるある話』
不思議.NET 2014年05月28日:12:17
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イエール大学のアミ・クリン博士による心理学実験。
私もやってみたところ定型発達より約10%ポイント低く、ややアスペ寄りでした。

自閉スペクトラム症と定型発達の見え方の違いがわかる実験
ろみの発達障害チャンネル 2019/10/18
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【IQ】知能指数が高いやつってどんな特徴がある? @ [心理学板]
【まとめ】博士ちゃんねる

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IQが20違うと会話にならない←これ絶対ウソだろ、IQ99999あればバカの話も解読できるだろ
【まとめ】まるちゃんねる
2011年11月16日09:32
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「IQが20違うと会話にならない」はマジ。天才すぎる俺に友達がいない事からも確定的に明らか
【まとめ】ライフハックちゃんねる
2013年05月29日 00:00
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IQが高い人は勉強が得意とは言い切れないが、記憶力・判断力・決断力に優れるらしい
不思議.NET 2014年07月15日:21:07
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IQ(知能指数)が高い人は身近にいますか?
ガールズちゃんねる 2018/03/20(火) 01:47
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ついに高IQとぼっちの関連を示す研究結果が!
ガールズちゃんねる 2016/10/06(木) 07:51
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参考資料等(高知能2) 第9章 やはり「人間は自閉的知能を持ったサル」である

参考資料等(高知能2) 第9章 やはり「人間は自閉的知能を持ったサル」である


 第1節 自閉的知能者だけで社会は回らない


 第2節 過剰に家畜化されたカイコは幸せか


 第3節 ミトコンドリアのような共生関係

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「細胞内に張り巡らされたエネルギープラント」
日本生物物理学協会
H29年度分野別専門委員
九州大学・理学部生物学科
小柴 琢己 (こしば たくみ)さん
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もう君なしでは生きられない!ミトコンドリアと細胞の不思議な関係
日本科学未来館 科学コミュニケーターブログ
2018年12月21日 田中 沙紀子さん

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ミトコンドリア
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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 第4節 「袖を引っ張る」ぐらいの力でも


 第5節 視覚優位は進化の証か

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我々がネズミだった頃は恐竜の目を避けて夜に動き回るため「夜行性で聴覚・嗅覚優位」。それがサルの仲間に進化して昼間に樹上を動き回るようになると、視覚による空間認識能力を発達させた。その後ヒトの仲間は地上に降りたものの、能力的には視覚優位のままということ。

中部学院大学 三上章允 さん
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同じ視覚優位でも人間は時間的・空間的に断片化された視覚情報をひとつのまとまりに統合できるが、チンパンジーはその能力がはるかに劣る。

チンパンジーよりもヒトで優れた時空間的な視覚情報処理
京都大学 2013年11月19日
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 第6節 能力の代償としての生きづらさ


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WISC-4の見方と、発達障害には能力に凹凸があるという話

IQって何?WISC-Ⅳの結果の見方と支援の手立て4選
子供の発達を支える~発達.net~
2017.09.22更新日:2019年4月10日

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知能が高すぎる子供が環境に合わなくてストレスを溜め、ADHDやASDに誤診されてしまう

ギフティッド児の誤診を防ぐ:その理解と,適した環境の必要性 (1)
Child Research Net
角谷 詩織さん(上越教育大学大学院学校教育研究科 准教授)
2018年11月22日掲載

(略)特に,誤診されたギフティッド児が,不適切な環境や治療に長期間さらされ続けることで,実際に精神疾患を患うことや,自殺という最悪の事態が生じることもあります。実際,米国のギフティッド児や成人ギフティッドの社会的・情緒的支援団体であるSENG(Supporting the Emotional Needs of the Gifted)は,一人のギフティッド青年の自殺をきっかけに設立されました。


(ア) ADHDとの違い
学校では落ち着かないが,家では静かに座って何時間でも読書をしていられるようだったら,ADHDの可能性は皆無ではないが,かなり低くなると,Webbら(2016)は述べています。
また,興味関心を同じくする仲間といるときや,その子に合った知的チャレンジが与えられているときに,ADHDではないギフティッド児の問題行動は急激に少なくなる,あるいは,まったく見られなくなります。さらに,抽象的,創造的な思考を好むギフティッド児は,かっちりと型にはまりすぎている文脈,とくに,その必要性が不明確なまま,「とにかく,こういうことになっているから,言われたとおりにしなさい。」という状況には耐えられません。

(イ) アスペルガー症候群との違い
アスペルガー症候群に見られる主たる困難は,実際は抽象的思考やものごとの般化にあります。一つの状況で学んだことを,他の状況に転移できないため,対人関係も含め,具体的な場面,事柄を一つ一つあげての学習が必要となるのです。アスペルガー症候群ではないギフティッド児には,このような困難は見られず,たとえ,心情の理解を含む読解に困難があったとしても,個別に適切な指導を受けることで,それを般化させることができ,読解力の向上が見られたりもします。
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 第7節 国や企業も「異能」として活用を始める


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世界の大企業が注目 自閉症者を雇うことの利点
(フォーブス)2018/06/14 12:56
Karen Higginbottom , CONTRIBUTOR

自閉症スペクトラム障害(ASD)──舌が絡んでしまいそうな言葉だが、米マイクロソフトや独SAPなどの大企業では、この障害のある人材を特定のスキルを必要とする職種に誘致する取り組みが増えている。(略)
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AIめぐる人材争奪戦、自閉症者に熱い視線
The Wall Street Journal.
John Murawski 2019/08/08 08:53
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参考資料等(高知能2) 第8章 ネットで広がる自閉的知能の生存空間

参考資料等(高知能2) 第8章 ネットで広がる自閉的知能の生存空間


 第1節 自閉的知能のもうひとつの側面 - 芸術的才能


 第2節 自閉同士なら共感できる


 第3節 PCが才能を増幅し、ネットが表現の場を与えた


 第4節 「ネットで人気」からメジャーデビューへ

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米津玄師
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

(よねづ けんし1991年3月10日 - )は、日本のシンガーソングライター、イラストレーター、映像作家である。

米津玄師はニコ動出身のアーティストって知ってた? その創作活動を振り返る
佐久間翔大(A4studio)2019年11月05日 日刊SPA!


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ONEさん(漫画家)インタビューなど

プロの土俵を降りても勝負はできる?
CAKES 2014年6月24日

初連載がいきなりアニメ化
『ワンパンマン』作者ONE氏が持つ初期衝動のすごさとは
ログミーBIZ

「大人になれなかった子供だ。コイツらは」モブサイコの名シーンを山田玲司が深読み
ログミーBIZ

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 第5節 変わるゲートキーパーの役割



 第6節 みんながテレビ局や出版社を持つ時代

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「結局のところマスメディアや広告代理店が独占していた情報がネット経由で「拡散」されると同時に、広告収入もネット媒体に「拡散」されてしまった」結果…。

今この瞬間、インターネット広告費がテレビ広告費を追い抜こうとしている〜「2018年 日本の広告費」発表〜
テレビとネットの横断業界誌 Media Border
2019年02月号
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 第7節 マスメディアを見る人が減った理由


 第8節 日本は自閉文化大国

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幾何学が下地になっており、自閉っぽい感じの葛飾北斎による絵の教本
略画早指南(りゃくがはやおしえ)
すみだ北斎美術館


こちらには北斎が「鉄棒ぬらぬら」のペンネームで書いた春画も出て来ます。しかしどれも凄い画力ですね。
 ↓↓↓
これが88歳の作品!? 葛飾北斎が老いてから描いた画が強烈すぎる
更新日:2019年9月29日 公開日:2012年12月23日
幕末ガイド


葛飾北斎
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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歌川国芳(1798-1861年)はタヌキが自分の金〇でいろいろプレイする絵を書いています。いったい我々のご先祖様たちは何やってたんですかねえ…。

海外「日本人の想像力に乾杯」 江戸時代に描かれたタヌキの浮世絵に外国人が衝撃
パンドラの憂鬱 日付不明
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参考資料等(高知能2) 第7章 再現性の宗教=科学へのこだわり

参考資料等(高知能2) 第7章 再現性の宗教=科学へのこだわり


 第1節 雷を支配するサル


 第2節 宗教への懐疑


 第3節 再現性・客観性・普遍性にこだわる


 第4節 日本人の自閉的知能は世界トップクラス

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腎虚が文化依存症候群の国っていったいどこなのか、激しく気になります。

文化依存症候群
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

文化依存症候群(ぶんかいそんしょうこうぐん、文化結合症候群とも言う Culture-bound syndrome)は、ある地域、民族、文化環境において発生しやすい精神障害の事を指す。例えば、対人恐怖症や腎虚などのさほど特別だと一般に考えられていない障害も、この文化結合症候群である。
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 第5節 イグ・ノーベル賞で変人国家のお墨付き


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「日本には変人が多い!」 イグ・ノーベル賞の創設者が見たニッポン人
賞の創設者・過去の日本人受賞者9人が集合
FNN PRIME 清水俊宏
2018年9月21日 金曜 午後8:00
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 第6節 素材や部品産業への適正


 第7節 ただし「システム化」「グローバル化」では米国ひとり勝ち


 第8節 自閉的知能を軽視すれば科学技術に遅れをとる

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日本のコミュニケーション原理主義はやはり特殊か?

【悲報】日本の「コミュ力重視」の就活、世界的に見て異常な採用法だった…
凹凸ちゃんねる
2019年09月02日08:30
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参考資料等(高知能2) 第6章 文明社会を支える自閉的遺伝子

参考資料等(高知能2) 第6章 文明社会を支える自閉的遺伝子


 第1節 自閉症者から見た世界 - 定型発達(NT)症候群

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定型発達症候群のマンガ
オリジナルはこちら
画像をクリックして開き、あとは右側の矢印をクリックしてめくって行ってください

ちちゃこ 発達障害勉強中@chichako07
5月21日
定型発達症候群(1/2)
定型発達症候群(2/2)

もしうまく見られないときは、たとえばこちらをご覧ください。
【画像】発達障害者から見た健常者『定型発達症候群』を描いた漫画が話題に。”普通の人”とは何なのか?
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 第2節 正反対の価値観


 第3節 チンパンジーとの差は自閉的遺伝子か

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サルにもちゃんと自閉症者がいる
遺伝子操作で作り出すこともできるらしい

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 第4節 マイペースで我が道を行く


 第5節 文書で知識を蓄積する


 第6節 詐欺や誘導に引っかかりにくい


 第7節 公平な法治国家の担い手(少数派であっても意見を曲げない)

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不公平だと猿でも怒る実験の動画
ナショナル ジオグラフィック TV

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 第8節 「自走式仕事マシン」への接し方

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職場にいる『放っておくとどんどん仕事を見つけて忙しくなっていく人』は庭を掘ったら出てきた油田みたいなもので、大事に精製・分配しないと蒸発するか腐るか爆発する
togetter 2018年3月4日

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参考資料等(高知能2) 第5章 科学や芸術に貢献し続けた「自閉的知能」

参考資料等(高知能2) 第5章 科学や芸術に貢献し続けた「自閉的知能」


 第1節 スティーブ・シルバーマン著「自閉症の世界」要約


 第2節 医師アスペルガーはASDを才能と見ていた


 第3節 アメリカでは遠回りした自閉症研究


 第4節 自閉症スペクトラムという考え方


 第5節 映画「レインマン」で世間に知られる

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映画 レインマン
1988年公開のアメリカ映画。
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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 第6節 サヴァン症候群とアスペルガー症候群の違い


 第7節 PCとネットで花開いた自閉症文化


 第8節 ニューロダイバーシティ(神経多様性)が繁栄のカギ


参考資料等(高知能2) 第4章 残酷な「天の配剤」:併存疾患と依存症のリスク

参考資料等(高知能2) 第4章 残酷な「天の配剤」:併存疾患と依存症のリスク


 第1節 自閉症は併存疾患が多い


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併存疾患の有病率は主にここの資料の表から取ってあります。

自閉スペクトラム症を中心とした神経発達症について
尾崎紀夫氏
内閣官房教育再生実行会議有識者勉強会2015年12月

この元ネタはLancet 383 9920 p896-910 2014と書いてあります。
これのことでしょうか。
ちなみにランセットは最も評価の高い世界五大医学雑誌のひとつだそうです。

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併存疾患について、このサイトで紹介されていたメタ分析も参考にしました。
しかし数字を拾っただけで、中身は読んでません。ごめんなさい。

自閉症スペクトラムに合併しやすい疾患について
もりさわメンタルクリニック
9月16日

Prevalence of co-occurring mental health diagnoses in the autism population: a systematic review and meta-analysis

Meng-Chuan Lai, MD  †
Caroline Kassee, MHSc †
Richard Besney, BSc
Sarah Bonato, MIS
Laura Hull, MSc
William Mandy, DClinPsy
et al.
Published:August 22, 2019
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天才と統合失調症は表裏一体という話


天才たちの共通点「認知的脱抑制」―創造性の源? うつや疲労や精神病とも関連?
いつも空が見えるから
管理者: yukiさん

普通、わたしたちの脳は、今目の前にあるタスクや自身の生存とは直接関係のない情報を遮断する精神的なフィルターをもっています。もし情報が選別できないとすれば、圧倒されてしまうからです。

しかし統合失調症や統合失調型パーソナリティの人は、このフィルターのひとつ、「潜在抑制」が低下しているそうです。この状態を認知的脱抑制といいます。この点は以前、サヴァン症候群についての話でも触れました。

認知的脱抑制はコントロールできないと妄想として現れます。本来その場には関係ないはずの情報が意識に上るため、幻聴や幻覚が生じてしまうのです。これが統合失調症です。

反対に、もしコントロールできれば、それはひらめきとして現れます。シューマンはアイデアを送ってくれるのは墓の中のベートーベンだと信じていましたが、その瞬間だけ統合失調症患者と同じプロセスが生じるのです。これが創造性です。
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天才と変人の関係 脳の「フィルター装置」が独創性を左右?
日経サイエンス2013/4/25 7:00



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チック障害

発達障害と合併しやすいチック症とは?
坂 達典さん ブレインクリニック東京副院長。
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トゥレット症

ショッキングな動画を見たことがあったのですが、見失ってしまいました。
しかし良く考えなおしたら、その動画を貼ると見世物にしているみたいで申し訳ないです。興味のある方はご自分で検索してください。すみませんです。
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 第2節 発達障害と依存症

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ギャンブル依存症
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

しかし1972年にアメリカ合衆国オハイオ州で世界初の入院治療が試みられると、1977年に世界保健機関(WHO)によって依存症の一つに分類され、1980年にアメリカ精神医学会が『精神障害の診断と統計マニュアル第3版』(DSM-III)において精神疾患(衝動制御障害)に分類するなど、1970年代以降ギャンブルへの依存を精神疾患として認識する動きが広がった。
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DATKOマウス、DDマウスを使ったドーパミンとADHDの研究

ドーパミンによる精神疾患への関与および、行動の制御に関する研究
公益財団法人 東京都医学総合研究所 精神行動医学研究分野
依存性薬物プロジェクト
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なぜ、ギャンブル依存症で身を滅ぼすのは「男」ばかりなのか?
MAG2NEWS 2016.06.28
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ゲームがADHDの子の可能性を奪う!? 正しい「遊び」の与え方
大坪 信之さん 2019.1.16
幻冬舎 GOLD ONLINE
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元農林水産事務次官)が東京都の自宅で長男(44)を殺害したとされる事件

「児童ぶっ殺す」と長男 元次官、川崎殺傷よぎり殺害か
朝日新聞 2019年6月3日20時53分

「娘は絶望して自殺した」元農水次官はなぜ息子を殺害したのか?法廷で明かされた家族の苦悩
FNN PRIME 2019年12月12日 木曜 午後7:27

「僕の44年間はなんだった!」号泣する長男に「ゴミを片付けないとな」元農水次官がかけるべき言葉は何だったのか
JCAST テレビウォッチ 2019/12/17 15:03

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 第3節 気付かれにくい聴覚認知障害(APD)

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聴覚処理障害(APD)の感じ方、「聞き取れない」ではなく「頭に入らない」障害か
凹凸ちゃんねる 2018年05月28日20:01
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 第4節 記憶力とワーキングメモリ



スティーブン・ウィルシャー氏

サヴァン症候群の英国の建築画家。

30分だけメキシコシティを上から眺め、忠実に絵として再現しています。
Artist Stephen Wiltshire draws Mexico City from memory

同じことを東京でもやったそうです。
Stephen Wiltshire draws Tokyo from memory

スティーヴン・ウィルシャー
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』


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自閉症とワーキングメモリについて、とてもよくまとまっています。元ネタは英語のWiki「Autism and working memory」で、ほぼそのままの内容だそうです


自閉症とワーキングメモリ
TetoraChaos 2019.07.20

自閉症者の脳の主要な機能不全は、扁桃体複合体の神経機構によるものであると考えられます。
実行機能のレイテンシーに着目した研究によると、自閉症では時間的順序、情報源、自由想起および作業記憶において障害があるようです。
 しかし、被験者たちには十分な短期・長期記憶能力、手掛かりの想起能力、新しい事柄を学ぶ能力がありました。つまり、グローバルワーキングメモリの不足と特定の社会的知性の障害の二つの障害があり、前者が後者を引き起こしたり、反対に後者が前者を引き起こしたりしているようです。

非自閉症と自閉症の参加者との間の有意差は、言語作業記憶ではなく空間記憶のみに見られました。

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自閉性障害者においては音韻的ワーキングメモリには問題が見られないが,視空間的ワーキングメモリには問題が見られる
(視覚優位と矛盾しているように思われるが…)

自閉症スペクトラム指数とワーキングメモリ容量の関係:定型発達の成人における自閉性障害傾向
土田 幸男氏, 室橋 春光氏

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坂 達典 氏 ブレインクリニック東京副院長。

長期記憶に必要な遺伝子にCREBがあります。長期記憶には遺伝子の発現、たんぱく質の発現が必須になります。短期記憶(ワーキングメモリ)をする時に起きているのが、既にある頭の神経細胞のネットワークを変更することなく、シナプスの伝達効率を上げ下げしています。上げるのがLTP、下げるのがLTDです。
長期記憶の際においても、シナプスの伝達効率を上げ下げしているのですが、単にシナプスのシナプスの伝達効率を変えるだけでは、時間の経過とともに、記憶が消えてしまいますが、シナプスの構造自体が変われば、長期的に保持されることになります。

ワーキングメモリーは、読む能力の獲得と流暢な使用の際に重要な役割を果たすため、ワーキングメモリーが十全に機能しないならば、読み能力の獲得に支障が生じることが示唆される。 算数障害では視空間スケッチパッド【視覚性ワーキングメモリー】が障害されており、ディスレクシア(読み障害)では音韻ループ【言語性ワーキングメモリー】が障害されていることが明らかになっています(Schuchardt, Maehler, and Hasselhorn,2008)。

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発達障害とIQ検査とワーキングメモリー
生駒医院さん

最も代表的な仮説としてBaddeley ら(2009) のモデルがあります。

このモデルでは、脳の中には、言語性ワーキングメモリーとして音韻ループ、視覚性ワーキングメモリーとして視空間スケッチパッド、それらを統合するエピソーディックバッファ、が存在し、中央実行系がそれらを統括し、最終的に長期記憶装置につながるというモデルです。ただし、音韻ループ、視空間スケッチパッド、エピソーディックバッファ単独では、短期記憶という呼び名になります。
 本来のワーキングメモリーは、これら3つのバッファと中央実行系の連携能力の事を意味します。よって、ワーキングメモリー量に影響する因子は、3つ(中央実行系の処理能力+各種バッファの記憶量と記憶減衰時間+両者を結ぶ通信経路の伝導速度)です。
(※余談ですが、この通信経路として大事な場所に前部帯状回があり、これはADHDの責任領域の1つでもあるため、ADHD児がワーキングメモリーの低下をきたし易い理由となっています。)

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自閉症者の脳の働き方は普通の人とは違う。最も注目される点は、言語中枢にあまり頼らない

自閉症者の秘めたる能力
最近のデータと自身の個人的な経験から、科学など一部の分野では、自閉症が利点になる場合があると語る研究者がいる。モントリオール大学教授、Laurent Mottron だ。彼の主張を聞いてみよう。
Laurent Mottron 2011 年 11 月 3 日号 Vol. 479 (33-35) Nature


例えば、自閉症でない人が画像を見たときには、視覚情報と言語の両方を情報処理する脳領域が活性化する。ところが、自閉症患者では、発話情報処理のネットワークよりも視覚情報処理ネットワークのほうが活発になる


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ワーキングメモリと発達障害
湯澤美紀氏 2011年 ノートルダム清心女子大学

3 つの実行系 機能のうち更新が,最も知能に影響することが示 唆された。

Gathercole and Alloway(2008) は小学校入学前の 4 歳児のワーキングメモリを測定し,それらが 30 か月後の 6〜7 歳時点の彼らの読み,書き,算数の成績を予測することを見出しており,ワーキングメモリが学業成績に因果的な影響を及ぼすことが示唆されている。

ワーキングメモリにみられるこの個人差は,親の社会的地位や教育歴とは関連せず,環境の影響を受けにくいとされる (Alloway et al., 2004 ;Engel, Heloisa, & Gathercole, 2008)。

ダウン症児は音韻的短期記憶 (音韻ループ),ウィリアムズ症候群は視空間的短期記憶 (視空間的記銘メモ),SLI は音韻的短期記憶ならびに言語性ワーキングメモリ (音韻ループ・中央実行系) に問題が見出されている。


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マイナビニュース 記憶の脳科学
林公代
低下したワーキングメモリ(脳のメモ帳)の機能は強化できるのか?

第1回

ワーキングメモリの容量は3つ!?

高得点者は「読解力」に長け、「注意」を正しく向け、「方略」をもつ

苧阪教授が2003年の実験で「意外だった」というのは「ACC(前部帯状回)」が高得点群の人に顕著な活動が見られたことだ。その後の研究で、「DLPFC(背外側前頭前野)」、「SPL(上部頭頂小葉)」の3カ所がワーキングメモリの要となる中央実行形系のネットワークを作っていると考えられている。
SPLは注意の焦点を特定の対象に向ける「注意の切り替え」を担い、DLPFCは「注意を保持」する。そしてACCは注意を向けるべき対象をうまくキャッチしてそうでない対象を「抑制する」働きをする。
苧坂教授が強調するのは「注意の向け方」だ。ワーキングメモリの点数が低い人は決して覚えるのが苦手なのではない。「注意の移動」が苦手だということ。覚えなくていい対象に注意が向けられていたりして、覚えるべき対象に正しく注意が向けられていないようだ。

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流動性知能と結晶性知能

流動性知能と結晶性知能とは? 知能を鍛えるために2種類の知能とトレーニング方法を知ろう
LEARNTERN

-知能には二種類ある
-流動性知能は衰えていき、結晶性知能は増えていく
-結晶性知能は流動性知能によって使われる

流動性知能(フロー)とは
-論理的に考える
-計算する
-関係を把握する
-抽象化する

結晶性知能(ストック)
-知識
-経験
-手順
-メンタルモデル

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 第5節 「遅刻が多い」と言われる理由


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時間の感覚が鈍い(脳の働く部位が違う)

自閉スペクトラム症を持つ方々の他者理解
米田英嗣 氏(KOMEDA, Hidetsugu)
京都大学白眉センター/教育学研究科
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 第6節 原因の特定と治療可能性

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本節が見当たらない場合は
こちらからご覧ください。

第4章 第6節 原因の特定と治療可能性

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この節はほとんど
自閉症の科学
から引用しています。
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世界初 自閉スペクトラム症へのオキシトシン経鼻スプレーの治療効果を検証しました
平成30年6月29日 プレスリリース
国立大学法人 浜松医科大学
国立大学法人 名古屋大学
国立大学法人 金沢大学
国立大学法人 福井大学
国立研究開発法人 日本医療研究開発機構
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参考資料等(高知能2) 第3章 高知能者と自閉症

参考資料等(高知能2)第3章 高知能者と自閉症


 第1節 発達障害と特殊能力

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高いIQ値に関連する遺伝子変異は自閉症スペクトラム障害のリスク上昇にも関連している。

「知能遺伝子」52個を特定、IQ差の2割を説明 国際研究
AFP 2017年5月23日 10:47

人の知能に関連する52の遺伝子を発見したとする研究論文が22日、発表された。うち40については、この種の遺伝子として同定されたのは、今回が初めてだという。
 また、今回の研究では、知能と自閉症との意外な関連性も明らかになった。将来的に、この成果が自閉症の発症原因解明の助けになる可能性もある。
 米科学誌ネイチャー・ジェネティクス(Nature Genetics)に掲載された論文によると、新たに発見された「知能遺伝子」群により、調査対象者数万人の知能指数(IQ)テスト結果にみられる差異の約20%を説明することができるという。(略)

■自閉症との関連
 IQの高さに関連する遺伝子変異の多くは、就学年数が長い、幼児期の頭のサイズが大きい、背が高いといったその他属性との関連がみられた。喫煙習慣を絶つことに成功するといったものもあった。
 しかし、最も強く、そして最も驚くべき関連の一つは、自閉症との関連だったとポスツマ氏は指摘する。
 ポスツマ氏は、AFPの取材に「高いIQ値に関連する遺伝子変異は、自閉症スペクトラム障害のリスク上昇にも関連している」と述べ、特に「SHANK3」遺伝子は「この関連性を説明するための非常に有力な候補」と説明した。

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 第2節 自閉症の「三つ組の障害」

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主な発達障害の定義(文部科学省平成15年3月)
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自閉症を知る
東京都自閉症協会
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自閉症
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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 第3節 サヴァン症候群は自閉症者に多い?

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サヴァン症候群
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

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図表 4 発達障害と知的障害のイメージ
 出所:LITALICO発達ナビ

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 第4節 発達障害の併存状況


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小中学生の6.5%に発達障害の可能性 4割は支援受けず
日本経済新聞 2012/12/5付

元ネタはこちら
通常の学級に在籍する発達障害の可能性のある特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する調査結果について
文部科学省 平成24年12月5日
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 第5節 東大生の25%はアスペ


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アスペルガー症候群とは
東京都自閉症協会
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アスペルガー症候群
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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 第6節 アスペだから知能指数が高いわけではないが

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アスペルガー症候群の子供は知能指数が高いわけではないという研究
私は下のサイト知りましたが、この方は「平均値(Mean)は低いし、高低に二極化せず正規分布していること」まで確かめてるのが素晴らしいですね。

「アスペルガーには高IQが多い」の嘘を暴いていこう
努力する子の育て方 2019-03-19

元になったデータ(英語)はこちら。
https://www.pearsonclinical.com.au/files/TechReport3WISCIVClinical%20Validity.pdf

しかし元のデータを見ると、アスペルガー症候群は標準偏差(SD)が1.5倍ぐらいある「裾が広い分布」になっています。そこで私は「知能が高い領域では比率が上がるのではないか」と考えて、本の中で分布イメージ図を書きました。もちろん低い領域ではさらに比率が高くなるのですが、もはやアスペとは呼ばれなくなる可能性が高いです。

自閉症の方は標準偏差がさらに大きいです。しかし平均(Mean)の違いが大きすぎるため、アスペルガー症候群のように「知能が高くなるほど比率が上がる」ことにはならないと思います。


アスペルガー症候群の子供の知能指数分布














自閉症の子供の知能指数分布




すると本の中でも示したように、「アスペルガー症候群の子供」と「比較対照群の子供」の知能指数分布を描くとこんな感じになるはず。130以上だとむしろアスペルガー症候群の比率が上がってもおかしくないわけです。




















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 第7節 感覚過敏と強いこだわり


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自閉症スペクトラム(ASD)の特徴、感覚過敏とは
アスペルGUY
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自閉スペクトラム症を持つ方々の他者理解
米田英嗣さん (KOMEDA, Hidetsugu)
京都大学白眉センター/教育学研究科
公開シンポジウム・科学としての心理学シリーズ
“共感する心”を科学する
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 第8節 視覚優位で聴覚劣位



 第9節 過集中とネット中毒 

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過集中 Hyperfocus(英語)

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過集中って何? アスペルガー症候群の諸刃の剣
an an web
七海さん 2017.1.29
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発達障害の働き方:「過集中」と上手く付き合うコツとは?
俵谷龍佑さん 2019.07.03
Study Walker スキルUP
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参考資料等(高知能2) 第2章 独特の鋭い感覚

参考資料等(高知能2) 第2章 独特の鋭い感覚


 第1節 百科事典が好きな子は特別知能が高い


 第2節 「宇宙が広すぎる」と泣き出す子供


 第3節 知識があれば恐怖の対象が違う


日本では注射器使い回しが割と最近まで続いていた
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注射器の使い回し
法律事務所MIRAIO

このような注射器の連続使用は、使い捨て注射器が普及する昭和63年頃まで続いたといわれています。その結果、我が国にB型肝炎が蔓延してしまったのです。
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 第4節 概念に色・におい・音がついている「共感覚」


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ぼくには数字が風景に見える
ダニエル・タメット著


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ギフテッド認定と関連して、共感覚(概念に色がついている)の人もいるという話
掲示板からの抜粋のようです。

ギフテッド
行き掛けの駄賃 2018/08/08 09:30
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 第5節 共感覚者は普通の人をどう思っているか

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色覚異常 wiki

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色覚異常の人がどのように見えているのか

色覚異常の人が見ている世界はどれだけ違う? 再現してみた

色がわからない「色覚異常」。かつては色弱や色盲とも呼ばれ、ゴッホが色弱だったという説もあります。色が見えない障害をもつ人には、焼肉や紅葉がどのように見えるの?見えない色はなに? 色盲の人の世界を再現してみました。

2016/11/18 18:38
森 駿介 BuzzFeed Japan, Contributor / ライター

参考資料等(高知能2) 第1章 やはり、「下から上は理解できない」

参考資料等(高知能2) 第1章 やはり、「下から上は理解できない」



 第1節 そもそも、誰の説なのか?

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IQ30のコミュニケーションレンジ (30 IQ point communication range)の言い出しっぺと思われる人。

レタ・ステッター・ホリングワース
Leta Hollingworth (25 May 1886 – 27 November 1939)
Wikipedia

ただしホリングワース自身はそのときコミュニケーションレンジという用語を使っていないそうです。1987年になってGrady M. Towers という人が名付けたという記事がありました。

The Myth of The 30 IQ Point "Communication Range"
By Neuroskeptic
August 31, 2017 5:34 PM
Discover

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 第2節 絶対的高知能、相対的高知能



 第3節 やはり、「下から上は理解できない」



 第4節 知的水準が高すぎると大衆に売れない



 第5節 成績が悪いと「怠けている」と思われる

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知能が高いことを知られると、うまくやっても当然と思われる。うまくできないと怠けていると思われる。だから知られたくないという心情だそうです。

診断名「ギフテッドまたはタレンテッド」。 
ボケとバカの日々 2009/07/31 14:33
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 第6節 神童が大人になっても意外と普通?


全体としては十分に成功していると私は思うんですが。
知能指数140超の人を1500人集めて、その中にノーベル賞受賞者や大富豪がいないとご不満なんでしょうか。まあ知能指数が高すぎると成功しにくくなるという仮説には賛成しますけれども。

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ルイス・ターマンの神童実験

論文はおそらくこれですね。
Genetic Studies of Genius
Nature volume 119, pages695–698(1927)Cite this article
Lewis M. Terman

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世界を変える「天才」たち 並外れた頭脳の秘密に迫る
ナショジオ最新号 2017/5/7

調査対象者のなかには一流の科学者や政治家、医師、大学教授、音楽家になった人もいる。調査開始から40年後、彼らが発表した論文と著作は合計で何千点にもなり、取得した特許は350件、執筆した短編小説は約400編にのぼった。

一方で、並外れた知能が必ずしも傑出した業績につながらないことも判明した。IQが非常に高いにもかかわらず、成功できなかった人も多い。逆にIQが140未満でも、長じて名をはせた人たちもいた。ノーベル物理学賞を受賞したルイス・アルバレズとウィリアム・ショックレーがその例だ。
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『天才』が『ただの人間』であることを暴く、心理学者と神童たちの1世紀近くに及ぶ研究

2015/04/17 21:03
Inagakiさん
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 第7節 高知能団体も「上には上がいる」

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高知能団体の入会資格等はウィキ等を参考にしました。
本で示した表は標準偏差15で統一してあります。

高IQ団体
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

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「知能指数 … たったの130か … ゴミめ…」
に近いものがある、知能指数140のある人が正直に漏らした感想。

高IQの世界
「IQ100以下は精神的な障害者である」
齟齬 2019-06-20
御厨鉄さん による翻訳

元ネタはこちらだそうです。
Do people with 140 IQ see normal people (IQ 100 to 130) as stupid?
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 第8節 高知能ソサエティの役割




2019年12月25日水曜日

自閉症傾向は人類進化において重要

自閉症傾向は人類進化において重要

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西川伸一さん(AASJ)の記事
人類進化において自閉症傾向を持つ人の重要性を考察した総説を紹介しています。

自閉症は人類進化に必須の性質
(元ネタ)Are there alternative adaptive strategies to human pro sociality
2016年11月18日(11月15日Time & Mindオンライン掲載論文)

  まず、個人や家族の力量だけが問われる段階では、他の個体との関係に苦労する自閉症の人は淘汰される確率が高い。しかし、人類進化でうまれた共同的道徳性Collaborative Morarity)の社会が生まれると、状況は一変する。この社会は多様な人材を必要とする社会で、いわゆる変わり者の能力を必要とした。
   この総説で議論しているのは、知的障害のない自閉症についてだが、これは全自閉症の7割を超え、全人口の1−2%になる
   自閉症は社会性が欠如しているとよく言われるが、それには反対している。自閉症の人たちは、私たちが持っている、他の人も自分と同じように考えているとするTheory of Mindの代わりに、他人の意見に流されない、法則に従うようなTheory of Mindを持っていることを強調している。この例として、自閉症の人には数学者、物理学者、技術者、そして法律家が多いことをあげている。
   また、原始社会でも、誰もが新しい石器の作り方を考案できたわけではなく、おそらく狩りは下手でも道具作りのイノベーションを起こせる人材がいる社会だけが、道具を進化させ、他の社会を淘汰したと考えられる。そしてこのイノベーションには自閉症を持つ人が大きく貢献したのではと議論している。
   さらに、社会自体の維持にとっても、自閉症の人は大多数の意見に流されず、冷静に状況を判断できる点で、社会の存続に大きく寄与したと考えている。実際、トランプ現象をみると、私たちがいかに大勢に流されるかよくわかる。この状況を打ち破れるのが、「連帯を求めて孤立を恐れない」自閉症の人たちで、その人たちを尊敬する社会が最終的に持続可能な社会と言えるのだろう。自閉症の人が、確固たる法則を重視し、大勢に流されないことについては論文もあるようだ。
   進化は、生殖優位性だが、共同的道徳性の社会では、新しい技術を生み出し、また大勢に流れようとする社会に警告を発することができる自閉症の人は、異性にもてるという文化人類学的証拠を示している。このため、決して淘汰されることはない。それどころか、優れた社会では自閉症児の数は逆に増える

  1. 共同的道徳性の社会には自閉症の人は、社会に一つではなく、もう一つの選択肢を与えて、社会を強靭にした。
  2. 特に、大勢に流されず、イノベーションを起こし、確固たる法則に基づいて社会を導く点で貢献している。
  3. このように、自閉症を社会性の欠如ではなく、もう一つの社会性として積極的に評価することで、人類進化に対する新たな視点が生まれる。
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2017/5/21
自閉症者が人類社会に「不可欠」である理由 〜実は障害ではない!
最新研究が明かした驚きの真相
正高 信男 氏
京都大学霊長類研究所教授 認知神経科学

(略)ニホンザルの近縁であるアカゲザルの群れでも、集団外の脅威にもっぱら注意を払うサルと、仲間同士の社会的交流の調整にエネルギーを注ぐサルがいて、しかもサルがどちらの役割をはたすかは遺伝的にきまっている(専門的には遺伝的多型があるという)ことが報告されているが、人間にもこうした特徴はうけつがれているらしい。

社会的周縁に存在し、自然界のなかで自分たちがどう生きていくかに思いをめぐらす人物と、集団・社会内で互いの利益を調整し、どう上手くやっていくかに思いをめぐらす人物がいる——前者こそが自閉症者であることは改めて指摘するまでもないだろう。

先史時代、われわれの祖先が狩猟採集に依存した生活をおくっていたころ、天候の変化をよんだり、動物の習性を知ったり、あるいは簡便な道具を作成したりするための「ナチュラリストとしての才覚」にたけていた存在と、社交にたけた存在が相補的に機能することが、人類の地球上での生活圏の拡大に多大の貢献をはたしたと考えられる

(略)生物の世界がそういう多種による多様性、つまりバイオダイバーシテイ(生物多様性)によって成立しているように、人間の世界も遺伝的に異なる多様な存在がそれぞれ微妙に異なる脳神経システムを発達させることを介して、多様性を構成しているのである。
これがニューロダイバーシテイという発想である。

多数派による「迫害」
ただし量的には社会的周縁で生活するのに適応したような存在は、全体のなかで相対的に少数でこと足りる。おのずと全体のなかでマイノリテイとなる。
他方、いわゆる「健常者」が多数派を占めることとなる(ニューロダイバーシテイの考え方では、彼らのことを指して「定型脳を保持している(ニューロティピカル neurotypical)、略してNT」と表記する)。
そして有史以降、時代を経るにつれてNTの人たちがマイノリテイを駆逐し、自分たちにのみ都合の良い状態へ生活環境を変えてきたというのが,今日の先進国社会の状況にほかならない。

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人類で進化し、多様性が維持されている「こころの個性」に関わる遺伝子を特定
2018.08.22 09:00
東北大学大学院 生命科学研究科

 現代人の5人に1人は、一生の間に何らかの精神疾患を発症するといわれており、その原因解明および治療は、精神医学や神経科学における中心的課題の一つです。また、精神疾患は遺伝率が高く、しばしば生物学的な適応度(生存や繁殖)に大きな影響を与える可能性があるにも関わらず、ヒトの集団中に頻繁に見られることから「進化的なパラドクス」と捉えられることもあり、その進化機構の解明は進化学的にも重要な研究課題です。さらに、統合失調症や自閉症などの精神疾患は、社会行動や認知機能など、ヒトを特徴づけるような高次脳機能の障害を示すことから、人類の高次脳機能の進化の副産物として精神・神経疾患が生まれたのではないかという仮説があり、精神疾患関連遺伝子は人類の脳の進化において重要な役割を果たしたと考えられます。

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スティーブ・シルバーマン著 「自閉症の世界」関連情報

スティーブ・シルバーマン著 「自閉症の世界」関連情報




自閉症の世界 多様性に満ちた内面の真実 (ブルーバックス)


非常に面白いテーマと内容だったので、まるまる一章かけて解説しました。

しかし正直なところ日本語版は読みにくかったです。専門家と思われる方々から「大事なところがバッサリ省略されて主題がすり替わっており、語訳も多い」との批判がありました。アマゾンのレビューにも厳しい意見が散見されます。その中でも特に参考になったものを以下にご紹介します。


サイコドクターにょろり旅

2017-05-27
スティーブ・シルバーマン『自閉症の世界』の翻訳について
2017-06-02
スティーブ・シルバーマン『自閉症の世界』の翻訳について その2








2019年12月24日火曜日

西川伸一さん 自閉症の科学 記事一覧

私がこのシリーズを見つけたのはYahoo!ニュース(個人)でした。

当時は次の記事を探すのに苦労したのでリンクページを作りました。しかし今ではAASJさんのホームページ「自閉症の科学(連載)」で見られるようになっています。これ以降の記事はそちらでご覧ください。

私としては、リスト化したのを捨てるのも惜しいので下に掲載します。本家にない記事もあったので、それはYahoo!ニュース(個人)へのリンクのままにしてあります。


オール・アバウト・サイエンス・ジャパン(AASJ)代表理事

西川伸一さん 自閉症の科学 記事一覧(1-35まで)


自閉症の科学1:  小脳の重要性
自閉症の科学2: 遺伝的自閉症の治療可能性
自閉症の科学3: 幼児期の脳波検査の意味
自閉症の科学4:  成長に伴う脳の変化から見る自閉症
自閉症の科学5:  妊娠中の炎症が脳に及ぼす影響を探る
自閉症の科学6:  遺伝子の変異による発達障害を胎児期に治療する
自閉症の科学7: 自閉症の考古学
自閉症の科学8: 自閉症の神経科学的研究の現状
自閉症の科学9: 瞳孔反射で自閉症発症を予測する
自閉症の科学10:  新しい発想の大規模コホート研究SPARK
自閉症の科学11: てんかん発作を抑える腸内細菌
自閉症の科学12: 乳児の脳の発達を知る。
自閉症の科学13: 光遺伝学を使った動物実験
自閉症の科学14: 注目すべき自閉症の遺伝子研究(エクソン4が欠損したCPEB4)
自閉症の科学15: 睡眠障害についての調査
自閉症の科学16: オキシトシン受容体刺激剤の開発
自閉症の科学17: 脳機能の画像検査
自閉症の科学18: 自閉症スペクトラム児の消化器症状チェックリスト
自閉症の科学19: 音楽療法の効果
自閉症の科学20: 人の声に対する反応を探る
自閉症の科学21: ASD児童の言語学習にとってバイリンガル環境は有害か?
自閉症の科学22: 自閉症と表情
自閉症の科学23: iPSで自閉症の研究は出来るのだろうか?
自閉症の科学24: バーチャルリアリティーを用いて恐怖症を取り除く
自閉症の科学25: MRI画像研究からMRI検査へ
自閉症の科学26: 注意欠陥・多動性障害(ADHD)に三叉神経刺激療法が効果がある
自閉症の科学27: 腸内細菌叢を操作して自閉症を改善させる(ロイテリ菌)
自閉症の科学28: ウイリアムズ症候群研究の紹介
自閉症の科学29: 自閉症スペクトラムの薬剤治療の可能性を証明した臨床治験
自閉症の科学30: 幼児期の脳発達に介入する薬剤治療開発への期待
自閉症の科学31: クリスパー遺伝子操作を用いたサルの自閉症モデル
自閉症の科学32: 末梢神経の興奮性を変化させて自閉症を治療する可能性
自閉症の科学33: M-CHATを用いたASD早期診断を検証する(Pediatrics 10月号掲載論文紹介)
自閉症の科学34: 睡眠障害に対する家庭での対処
自閉症の科学35: 自閉症スペクトラム(ASD)と注意力欠如/多動症(ADHD)の遺伝的共通性





2019年12月21日土曜日

参考資料等ポータルサイト_高知能者のコミュニケーショントラブル2 人間は自閉的知能を持ったサルである

ここは拙著「高知能者のコミュニケーショントラブル2 人間は自閉的知能を持ったサルである」の参考資料等ポータルサイトです。

出版に合わせて順次、拡充して行きます。

本来、著作の参考文献やリンクは書物に明示すべきです。
しかし

  1. 私が参考にしたサイトが又聞きやコピペかもしれず、それがオリジナルであるというところまで調査が至りませんでした。スピード優先でとりあえずアイディアをまとめ、出版を急いだという事情があります。
  2. アマゾンKDPのルール上、どこまで外部リンクして良いものか判断できませんでした。リンクだらけの本を出して良いものか、またそこで寄り道すると内容が頭に入りにくくなるんのではないかと考えました。

したがって、参考にさせてもらったリンクをここに紹介します。
さらに元ネタをたどれた場合や、面白い記事があった場合は追加していきます。
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誠に申し訳ございません!

m(_ _)m

発売直後(2019年12月27日14:00以前)のバージョンには、以下の節が含まれていません。

第4章 第6節 原因の特定と治療可能性

かなり独立性が高い部分ですので、おそらくこれを先に読んでも問題ないと思います。流れの中で読みたい方は下記の資料集の第4章の最後にも同じリンクがありますので、そちらをクリックしてください。

お手数かけて申し訳ございません。
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全体に影響を与えたリンク・本・論文など(高知能2)

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[目次]

まえがき:人間は自閉症のサルなのか 
 
第1章 やはり、「下から上は理解できない」

第2章 独特の鋭い感覚

第3章 高知能者と自閉症

第4章 残酷な「天の配剤」:併存疾患と依存症のリスク

第5章 科学や芸術に貢献し続けた「自閉的知能」

第6章 文明社会を支える自閉的遺伝子

第7章 再現性の宗教=科学へのこだわり

第8章 ネットで広がる自閉的知能の生存空間

第9章 やはり「人間は自閉的知能を持ったサル」である

あとがき:自閉化する世界とネオ人類
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その他、興味深かった資料