第7章 再現性の宗教=科学へのこだわり
第3節 再現性・客観性・普遍性にこだわる
自閉っぽい人々は、「機械的な動き」や「規則的な動き」が大好きです。
- 条件を同じにすれば、その現象は間違いなく再現できるのか
- 誰がやっても同じ結果になるのか
- その現象が起こる原理は何か
もしこの世に「真理」があるとするのなら、前提さえ同じであれば誰がやっても同じように動き、同じ結果にならなければなりません。つまり再現性や客観性や普遍性が必要だと考えます。それが彼らにとっての「神」であり、「宗教」なのです。
自閉的知能を持つ人々の以下のような性質が、長い年月の間に科学技術を発展させました。そして今ではまるで魔法のような道具を、みな当たり前のように毎日使っているのです。
- 自分の社会的地位や他人からの評価に興味がなく、論理や法則を探す性質がある。
- 「結果がどうなったか」より、「なぜそうなったか」に興味がある
- 定義や前提にこだわり、再現性や反証可能性を要求する。
- 視覚優位で、本の虫で、過集中の「ゾーン」に入ると周りが見えなくなる。
- 信仰心はそれなりにあるが、宗教をあまり信じない。
科学者がすべて自閉的だとまでは言いません。しかしこれらの要素が皆無であれば、科学者として何かを成し遂げることは難しいのではないかと思います。
自閉っぽい人々は社会の中でも少数派ではありましたが、科学技術をリードしてきたために人類の遺伝子プールのなかで淘汰されることなく生き延びることができました。そして少しずつ、人類全体を「自閉側」に引っ張ってきたのでしょう。その自閉的知能こそが他の野生動物との大きな違いであり、人類の繁栄を決定づけて来たのだと私は思います。そして今や人類はそれを自覚して、その能力を積極的に生かすことを考え始めたのです。
自閉っぽいから「障害」とは限らない。
むしろ現代では、高度な技術や知識を先導する素晴らしい素質だと言える。
それを周囲が理解しながら育て、適切な職業を選べば、社会を支える大きな戦力になる。
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