スポンサードリンク

pt>

2021年4月1日木曜日

地方出身親のための中学・大学受験 第9章 第5節 学力分布は男が広く、女は狭い

(略)

 さて難関校になるほど男子の比率が上がる理由は、「受験科目そのものが男に有利」という以外にもうひとつあると私は考えています。それは

男子の方が学力のばらつき(標準偏差)が大きい

ということです。

学力偏差値で言うと、全体の標準偏差は10になるはずです。しかし実は男子の標準偏差はそれよりも大きくたとえば12ぐらい、女子はそれよりも小さくて8ぐらいではないかと思うのです。その分布をイメージで示すと図表 20のようになります。


図表 20: 男子の学力差は激しい(=分布が広い)

 


おそらく男子の方が学力のばらつきが大きく、この図で示すようにピンからキリまでの差が開いています。だから上位校に行けば行くほど男子の比率が増えるわけです。

しかし女子は平均近くに多く固まっているため、そこから平均に近づくにしたがって女子比率が高くなります。おそらく上位6-7割(偏差値47-44ぐらいよりも上)を取れば、女子の比率がかなり高くなるでしょう。これは大学進学率が3割程度だった時代には男子学生が多かったのに、5割に近づいたあたりから女子学生のほうが多くなったという歴史的事実と整合的です。

あるサイトでは簡易モデルを使ってこれを計算しており、「男女同数になるのは上位27.4%」「上位50%ではすでに56対44で女子の方が多い」と結論づけていました。また「知能は測れるのか - IQ討論 (アイゼンク・ケイミン1985年) という本には、これとほぼ同じ男女の知能分布が描いてあったそうです。もちろん何のデータを使うかによって多少のズレはあると思いますが、おおむね我々の経験則や図表 20と近いのではないでしょうか。

(略)

地方出身親のための中学・大学受験 第6章 第1節 数学は若い方が有利な「徹底した積み上げの学問」

(略)

 おそらく小学校で、いや人生で最も大きな数学的ハードルは分数ではないかと思います。これが理解できないと比・割合・速さをはじめ、それ以降の数学的な学習はほぼ不可能となります。「最近の大学生は分数ができないので大学に入る前に補習を行っている」と聞きますが、それも不思議ではありません。世の中の「数学嫌い」のほとんどは、そもそも分数からして理解できていないことが原因なのではないかと私は思います。

分数をナメるな!

みんな分かった気になっているだけで、実はわかってないやつが多いんだぞ!

しかし本人たちは「自分は分数がわかっていない」と自覚してはいません。小学校のレベルでは、公式をあてはめるだけで解けてしまう問題が多いからです。また教えるほうも、自分が教えている相手がまさか分数を理解できていないとは思っていません。基本はわかっているのに応用が苦手なのだと思い込んだまま、「比が弱い」「割合が弱い」「速さが弱い」などと表面化した部分だけで判断してしまいます。

しかし実は逆です。分数が理解できていないから、比も割合も速さも理解できないのです。

このように算数は、ひとつの単元が理解できないとその先の学習がほぼすべて無駄になってしまいます。図表 13の学習曲線イメージで言えば、真ん中あたりの急上昇カーブに乗れないのです。すると「わからないから嫌い → 嫌いだからやらない → やらないからわからない」という負のスパイラルが発生し、「数学を回避した人生」を選択せざるを得なくなります。

(略)



地方出身親のための中学・大学受験 第4章 第5節 中学受験の偏差値は低く出る

 (略)

首都圏では2015年以降、中学受験する児童の比率が増え、2019年には14%程度になったと推定されています。これらの児童はおそらく、それぞれの小学校で上位2割には入っているでしょう。母集団のレベルが高いため、かなりの難関校でも偏差値が低めに出るのです。

中学受験をする時点で、その児童の学力は同学年の上位2割に入っている可能性が高い

それに対して高校は、高校入試のない中高一貫以外ほぼすべての中学生が受験します。そこには勉強があまり得意でない生徒も母集団に含まれるため、難関校の偏差値が一気に跳ね上がります。たとえば中学受験では偏差値50ぐらいだった学校が、高校から入ろうとすると65以上になるような現象がざらに起きます。

 (略)

したがって難関校の偏差値は中学受験が最も低く、次が大学、そして高校受験が最も高くなる傾向があります。

同世代の中で同じ順位でも、受験偏差値は次のような順序になる

中学 < 大学 < 高校


これを図で説明しましょう(図表 11)。かなり大雑把な説明ですがご容赦ください。

図表 11: 中学・高校・大学受験の分布と偏差値

 (略)


仮にある子供がいて、同世代の中で学力が上位10%でかなり賢かったとします。しかし中学受験は上位2割の子供の争いなので、その子は平均的でしかありません。つまり中学受験の偏差値は50近辺ということです(図表 11上段)。

 (略)

乱暴に言い切ってしまえば

中学50 ≒ 高校65 ≒ 大学55

ぐらいのイメージですかね。

(略)

地方出身親のための中学・大学受験 第2章 第6節 「率」で見ると全く違った風景になる

 ではそのような観点から、学校別の東京国公医率のランキングを見てみましょう(図表 3)。これはたまたま2019年のデータであって毎年変動するわけですが、考え方の一例として解説します。東大と京大の医学部は重複しているので除いています。また掲示板に貼ってあったデータを加工したものなので、間違いがあった場合はご容赦ください。

図表 3:  2019年の東大・京大・国公医率 

 



まずトップは東京の筑波大附属駒場高校、略して筑駒(つくこま)です。浪人も含めた数字では、なんと84%が東大・京大・国公立医学部レベルに入るというバケモノ学校です。それ以外の進学先を見ると東工大と一橋大がそれぞれ3名、阪大・神戸大・首都大学東京・東京農工大がそれぞれ1名と十分すぎる高学歴です。

筑駒の実績を調べてみると私立大にもそれなりに受かっていますが、学力の割に合格者が少ない気がします。やはり滑り止めや場慣れのために私大を受けようとも思わない人が大勢いるのではないかと推測します。基本的には早慶が多く、防衛医大・自治医大なども含めた医学部に合格していますから、やはりとんでもない学力を持った学校と言えるでしょう。たとえ私大に合格しても、進学を考えるのは浪人した後であることが多いようです。

(略)

地方出身親のための中学・大学受験 第2章 第4節 大学合格実績の基本は東大・京大・国公医合格率

 世間では、東大がブランド化しています。

東大をテーマにしたドラマ・漫画・テレビ番組はひとつの大きなジャンルとなっています。漫画で言えば「東京大学物語」「ドラゴン桜」。テレビでは「東大王」など名前を冠したクイズ番組もありますし、タレントが東大を目指す企画もしばしば目にします。東大生のユーチューバーも増えています。

しかしこと大学受験に関する限り、東大だけを最高峰だと考える風潮は時代遅れと言えるでしょう。もちろん東大は優秀な生徒を集めているのですが、各地域ともローカル化が進む中で京大を外すのは関西やその近辺の優秀層を見逃すことになります。そして東大・京大と同等かそれ以上の学力を必要とする医学部(医学科)を外して大学進学実績を語っても無意味なのです。


図表 2は国公立医学部医学科と東大・京大の理系学部の難易度(偏差値)を比較したものです。文系は医学部と比較できないため省略していることをご容赦ください。

図表 2: 国公立医学部医学科と東大・京大の偏差値を比較(理系のみ)


 

左側には東大・京大の学部別偏差値が並んでいます。まず驚いたのは偏差値的に「東大が完全に京大の上にいる」ことです。我々の時代にはもっと拮抗しており、京大の方が上回っている学部もあったように記憶しています。これも東京一極集中やローカル化の影響なのかもしれません。

それに対して右側の国公立医学部医学科の偏差値は、東大や京大とほぼ遜色ないことがわかります。東大・京大はもちろん阪大・東京医科歯科大・名古屋・九州まで、医学部は東大理一よりも難関か同等です。それ以外の国公医医は少なくとも京大レベルにあり、それを下回っている方がむしろ例外的という状況なのです。

したがって現在は、国公立医学部(医学科)を除外して大学合格実績を考えることに意味がなくなってしまったのです。

(略)

地方出身親のための中学・大学受験  第1章 第3節 「高校入試がなくなる?」新たに加わる強力な理由

 そしてここに新しく、「中学受験をする」強力な理由が加わろうとしています。

それは

難関校が次々に高校募集をやめ、「完全中高一貫」に移行しつつある

ということです。

つまり今までのように「高校受験で頑張れば良い」とのんびり構えていると、第一志望にしていた高校が高校入試(募集)そのものをやめてしまう可能性が高くなってきたということです。この流れが読めているのであれば「良い高校に入りたければ、中学受験をしたほうが良い」という結論になります。


2019年2月、東京都立の中高一貫10高のうち併設型として設置されていた5つの学校が2022年までに高校募集を停止することが公表されました。これらは武蔵・富士・両国・大泉・白鷗など、昔から知られた伝統ある名門校です。

これらの学校はこれまで中学入試を行い、さらに追加で高校入試を行うことで生徒を確保して来ました。たとえば都立武蔵の場合、2020年(2019年度)の中学募集人員は男女計120名です。高校からは推薦や入試でさらに80名が加わり、合計200名となります。それが3年後に高校募集がなくなるのですから、おそらく中学入試で200名を確保することになるのでしょう。


ちなみに中高一貫教育には3つのタイプがあります。

  • 中学入試だけ行って高校入試を行わず、中高6年間をひとつの学校として過ごす中等教育学校。あるいは完全中高一貫とも呼ばれる。
  • 高校とそれに附属する中学で構成され、中学入試だけではなく高校入試からも入学できる併設型
  • 併設型よりもさらに緩やかに、中学と高校が協力する連携型

つまり東京都立中高一貫10高のうち、半分が「併設型」から「完全中高一貫(中等教育学校)」へと移行するということです。

そして実はこの動き、都立だけではありません。

私立の本郷高校は2020年を最後に、豊島岡女子学園は2021年を最後に、それぞれ高校入試を取りやめることを発表していました。千葉の渋幕(渋谷教育学園幕張中学・高等学校)も将来の高校募集停止を見据えて制服をリニューアルしたと報じられています。

名だたる名門校や難関校が高校募集をやめ、完全中高一貫へと変貌しようとしているのです。


これは中学に入ってから勉強に本腰を入れ、良い高校に入ろうと考えていた子供やご両親にはあまりにショッキングな出来事です。
たとえばこれらの学校に、高校から入ろうと勉強していた中学生。
今回の都立5高校のように3年間の猶予が与えられていればまだマシですが、それ未満の準備期間しかなければいきなり志望校が消滅したように感じると思います。

(略)

地方出身親のための中学・大学受験  ご注意、および参考資料サイトご案内


どのような地域にもそれぞれ歴史や人脈があり、それぞれの学校に特色や伝統があります。

しかし地方から出てきた第一世代は、大都市に長く住む人々が持つ微妙な感覚がわかりません。ましてや都市部では学校や職業の選択肢が数え切れないほど存在し、全部について知ることは不可能です。それらの要因をすべて考え始めたら、何が正解なのかわからなくなってしまいます。

したがってどうしても

地方出身第一世代は子供の受験を考えるときに、大学合格実績を重視する

ことが多くなります。私もまさにそのパターンです。


この本は子供の進学先を考える上で、よほど「我が家の教育方針」と「その学校の校風や教育方針」が大きく違わない限り「なるべく学力の高い友達が集まるところに行った方が楽しいに違いない」という前提で書かれています。気に入った校風や教育方針を持つ学校がいくつかある中で、最難関に入る確率を高めるために親は何をすれば良いかということです。

そのような考えは「学歴至上主義」であり「偏差値脳」であると批判されるかもしれません。特に大都市で育った人々から見れば、理解が浅く思える部分が目立つかもしれません。そんなときは「これが田舎モンの限界か」と笑ってお許しください。もしそれぞれの学校について校風・伝統・人脈などを知りたいのであれば、おそらくその地域出身の方が書いたもののほうが参考になるでしょう。

(略)

本書を書くときに参考となった資料などは、以下のウェブサイトに整理してあります。興味のある方は訪問してください。