【どんな本か】
本書は「地方から出てきて都市部で子供を育て、受験について考えるようになった親たち」のために書いた本です。
内容としては私自身が子供の受験のために「調べたこと」や「考えたこと」を整理しています。その結果、以下のようなことが起こると予測しています。
- 今後は高校入試を廃止する学校が増え、中学受験が過熱する
- なぜならば大学受験や学生生活などを考えた時に、完全中高一貫システムが優れているから。
- 今までは子供にとって「人生の最初の岐路」は高校受験だったが、それが中学受験になるため3年以上早まるということ。
- 大学受験も米国型になり、推薦AO入学はさらに増える
- それは大学と受験生の双方にチャンスを増やすが、同時に「学力以外の競争が激化」することで関係者の労力が激増する
- 推薦AOの増加は富裕層・有力者・都市・私立に有利であり、長期的には「格差拡大」と「階級固定化」を招く
- 大学受験に関して大人の役割が増えるために子供の自主性や独立心が育ちにくくなり、若者に不公平感や閉塞感が拡がる可能性がある
これらのことは将来起こることの「予想」ではなく、今まさに起きつつある「現実」です。このことを知らないと、子供の受験についていろいろ調べて決断を下しても報われなくなる可能性があります。
日本の受験界ではこれまでに何が起きており、これから何が起きるのか?
本書を読んでその流れを理解すれば、あなたが「子供にどのような教育を与えるか」を考えるための大きなヒントになるでしょう。
【あなたの時間と労力を省く】
おそらくあなたも3年以上の年月や労力をかけて、子供をひとりふたり中学受験させてみれば私と同じぐらいの情報を得られると思います。
しかし人生には
「それでは遅すぎる」
ということがあります。
たとえば自分の子供には「中学から勉強をがんばって良い高校に入ってればいいよ」と助言していたとします。するといきなり
第一志望にしていた高校が募集廃止
を発表したりします。憧れの志望校が突然「消滅」してしまったことに、あなたはショックを受けるかもしれません。
しかし厳しいことを言うなら、それは「運が悪かった」だけではありません。世の中の流れから当然そうなると予測されていたことを知らなかった結果なのです。
自分の情報不足・認識不足のせいで子供の進学が不本意な結果に終わるのだとすれば、あなたは一生かけてそれを悔いることになるかもしれません。
たしかに忙しい毎日の中で、子供の受験について「ルールを確認し」「戦略を立て」「実行する」のは大変です。自分で必死に情報を集めて考えたつもりでも、経験がないためにどこか見落としがあったり、全体が見えるまでに時間がかかってしまうのです。もし都市部での受験が自分にとって初めての経験であるなら、まずは経験者から話を聞いて概要を把握すべきだと思います。
子供の受験が終わってから
「あれはそういうことだったのか」
「今にして思えば、そうなるのも当然だよな」
「もっと早く気付いて対処すべきだった」
という思いを、なるべく減らしたいのです。
本書はあなたの「時間と手間を省き」「迷いや後悔を減らす」のに、きっと役立ちます。
【知っていれば余計な苦労や出費が減る】
ということで塾代や学費に何百万円・何千万円も払う前に、まずは本書で「都市部の受験事情」の全体像をつかんでおくことをお勧めします。
大学受験をいったんのゴールとして想定し、そこから逆算して「今なにをすれば良いのか」とスケジュールを立てるのです。その結果あなたの時間と労力は大幅に節約され、お子さんの人生に選択肢を増やすことができると考えます。
もともと都市部の受験事情は地方とはレベルが違うのですが、それに加えて現在は大学入試が大きく変わろうとしています。ルールが変われば当然、必勝法も変わります。自分の過去の経験をそのまま子供にあてはめて、
「そんなに難しく考えないで、とりあえず地域トップの国公立に行っとけばいいじゃん」
という「田舎あるある進学先選び」では通用しないのです。
【受験の「要素」を「構造」に落とし込み、「体系的に理解」する】
本書はあなたが受験情報に接するにあたり、その理解度を飛躍的に高めることを目的としています。
数多くの断片的な情報の中から「本質的な要素」を選び出し、それを「構造」に落とし込むことで「体系的な理解」を助けます。その結果あなたが、洪水のように溢れる情報の中でも「宣伝」「攪乱」「思い込み」などに惑わされることなく、「より速く」「より適切な」判断ができるようになると信じます。
しかし、だからと言って
「あなたも子供に中学受験させるべきです!」
と主張する気はありません。
本書を読んだ結果「うちの子供にそんな競争はさせない」「子供が(あるいは自分が)耐えられそうにないからいったん見送る」という決断もアリだと思います。なぜならば、学力競争・学歴競争に終わりはないからです。
(略)
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