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2018年9月10日月曜日

高知能者のコミュニケーショントラブル:まえがき:「IQが20違うと会話が通じない」は本当か


まえがき:「IQが20違うと会話が通じない」は本当か






近年ネットで、こんなことが言われています。
知能指数が20違うと
会話が成り立たない
これは本当でしょうか?

想像してみてください。
たとえばあなた一人だけが人間で、あとは全員がチンパンジーである会社で働いていたとします。
周囲のチンパンジーたちは餌や序列を巡ってケンカばかりしています。あなたがいくら科学技術の話や、それを仕事や生活に役立てるアイディアを説明してもわかってくれません。争いを収めようとして解決策を提示しても納得してくれません。餌(資金)が足りなくなったり、別の群れ(会社)から攻められても、仲間割ればかりしているので会社は潰れそうになっています。
そのチンパンジーたちの中で、あなたは序列最下位です。
彼らの世界では「相手を暴力で脅して従わせる力を持つ」方が、高い地位に就くのにふさわしいと考えられているからです。しかしあなたは感情的になることがなく、理性的に話し合いで解決しようとします。だからチンパンジーたちはあなたのことを怖がらず、馬鹿にしています。上位者にいじめられてムシャクシャしたときは、あなたをいじめて気分を直します。あなたのほうからは集団で襲うことはないので、復讐を恐れずにいたぶることができるのです。
チンパンジーの幹部たちも、あなたのことを面白く思っていません。いつも難しい話ばかりで、馬鹿にしているように感じるからです。そもそも序列最下位のあなたが意見や質問をするというだけで、相手のチンパンジーはメンツを潰されたと怒っているのです。おまけに新しい方法をどんどん試そうとするので、序列を基準に餌をもらっているチンパンジーたちはあなたを殺したいほど憎んでいます。

危うく殺されかけたあなたは、ほうほうの体で別の会社に逃げ込みます。そこは人間たちの群れで、あなたの提案や行動力を高く評価してくれました。肩書も給料も一気に上がり、とんとん拍子に出世しました。しかしそんなことはどうでもいいほど、毎日が充実して楽しかったのです。
そしてすっかり忘れたころに、前の会社が潰れたと聞きます。
「そりゃそうだよね、みんなまともに仕事してなかったんだから。どれが重要な問題で、どんな解決策が有効なのか誰も興味なかった。会社にとって利益になることと、害悪になることを区別できていなかった。俺があの会社に居続けたら、責任だけ背負わされて食い物にされるところだった。さっさと逃げ出して本当に良かった」
あなたは胸を撫でおろし、今の境遇に感謝するのです。

さて、結論を言いましょう。
「知能指数(IQ)が20違うと会話が成り立たない」
は本当です!

それはまるで、人間とチンパンジーの会話のようなもの。
人間は知能が高くなるほど、周囲の人々のやることがくだらなく思えてきます。しかしそれを表に出すと、集団リンチにかけられてしまいます。だからひとりで本を読むか、気の合う仲間とだけひっそり遊んでいるのです。高知能者が一生の間、ずっと孤独感や疎外感を味わっていることは想像に難くありません。

では、本当は恐ろしい逆のケースを考えてみましょう。
今度はあなたを含むすべての社員がチンパンジーである会社に、たまたま知能が高い「人間」がひとりだけ入社してきたとします。
あなたはその人の知能が高いことに気付くでしょうか。
その人の言っていることや、提案の意味を理解できるでしょうか。
その人をサポートし、集団リンチから守ってあげられるでしょうか。
「もう辞めたい」と相談を受けた時に「それがいい。あなたはここに居るべきではない」と背中を押してあげられるでしょうか。

ほとんどの人は、そんなことはできません。
あいつは変わっているからと、みんなで仲間外れにします。
上から目線で生意気だと、悪口を言って回ります。
コミュ障だと馬鹿にして、集団でいじめます。
罪をなすりつけたりでっち上げたりして、気分を晴らします。
このように、会話が通じないほどの知能格差があると

役に立つ高知能者を潰し、自分が大損していることにすら気付かない
のです。

これを他人事だとは思わないでください。
たとえあなたの知能が相当に高くても、上には上がいます。恐ろしく高い知能を持つ人から見れば、ほとんどの人はチンパンジー以下の脳みそしか持っていないのです。
あなたも知らないうちに彼らの邪魔をしたりイラつかせたりして、大きなチャンスを逃がしている可能性は十分にあります。

ここで落ち着いて、自分の過去を振り返ってみましょう。
あなたはアイディア豊富で向上心あふれる部下を、自分の手に負えないからといって低い評価しか与えていなかったでしょうか。
自分の頭で判断する選手を型に押し込めて、才能を潰していなかったでしょうか。
少し変わった子供の行動を頭ごなしに叱りつけて、委縮させてはいなかったでしょうか。
チンパンジー程度の知能しかない我々が「常識人として多数派の暴力」を振るい、確かな思考力や判断力を持つ人物の邪魔をしているのかもしれません。そしてみんなで大損しているのに、誰ひとりそのことに気付いていないのです。

無知は罪。しかも自分は罰せられたことにすら気付かない愚か者。

―――そう考えただけで背筋が寒くなります。

本書を書き始めたとき、私は「孤独感や疎外感に悩んでいる高知能者の人生を理解し、少しでも助けてあげたい」と思っていました。
しかし進めるうちに、そのカギを握っているのは普通の知能を持つ我々ではないかと考えるようになりました。
彼らをサポートすることで今よりも楽しく豊かな社会になるのだとすれば、我々がその意識を共有して努力する必要があります。これから「彼らが努力すること」よりも、「我々が気を付けること」のほうが多いはずなのです。

現代においては、「その国の上位5%の知能が国際競争力を決める」と言われます。
「知能指数105の常識人を量産するより、160以上の狂人をサポートして突っ走らせた方が強い」という構造の産業が増えてきたからです。
今は停滞気味の日本でも、高知能者が活躍できる場所を多く作れば米国並みの競争力を持つことができるかもしれません。またそれによって、普通の人々の能力も底上げできます。そして真の多様化がなされ、これまで以上に自由で豊かな国になるのではないかと考えます。

私には夢があります。
これまで日本で疎外されてきた高知能の人々に、活躍の場と幸福が与えられますように。
彼らを理解し支援する人々に、豊かな「おこぼれ」がありますように。
それと関係ない多くの人々も、この可能性に満ちた世界で幸せに暮らせますように。


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