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2017年11月15日水曜日

ビットコインはなぜヤバい: 第7章第2節 「ゲーム内アイテム」程度の価値





(略)

この危うい構造は、20176月に「改正資金決済法」が施行された後でも変わりません。
この法律により、登録業者以外による仮想通貨の取引サービスが禁止となりました。
しかし、この法律はむしろ逆効果になりかねません。日本政府が「(3)いわゆる仮想通貨」を貨幣として認めた上で規制をかけたような印象を与えてしまいます。案の定、このニュースで「日本が仮想通貨を正式に認めたぞ!」と大喜びする人が続出しました。
たとえば金融庁によるこちらのパンフを見ると、「仮想通貨が身近になりつつある中、仮想通貨交換サービスが適切に実施されるよう制度整備を行いました」と最初に書いてあります。まるで正式な決済手段として、日本政府が認めたように読めるのです。
しかし仮想通貨交換業者登録一覧には、注意書きが書いてあります。

仮想通貨交換業者登録一覧
仮想通貨を利用する際の注意点

仮想通貨は、日本円やドルなどのように国がその価値を保証している「法定通貨」ではありません。インターネット上でやりとりされる電子データです。
仮想通貨は、価格が変動することがあります。仮想通貨の価格が急落したり、突然無価値になってしまうなど、損をする可能性があります。

ただ普通の人は、この警告を目にすることはないでしょう。むじろ大手企業が取引所ビジネスに参入することで、安心して取引する人も増えると思います。それによって詐欺や犯罪の被害が大きく広がってしまうのではないかと懸念しています。
確かにこの法律は、登録された業者がいわゆる仮想通貨を「ねずみ講的な投資商品」に使うことは防いでくれるでしょう。しかしその前の段階、たとえば「登録外業者の詐欺」や「発行・発掘・取引認証・保管レベルでの不正」を防ぐにはほとんど無力です。構造的に詐欺や犯罪の温床になりやすい電子データ取引の中で、販売網の末端のほんの一部に規制をかけただけに過ぎないのです。

今回、「いわゆる仮想通貨」をわざわざ法律で規制したことは別の問題を引き起こしてしまいそうな気がします。
「新しい時代の通貨だ!」と叫びながら電子アイテムを発行しみんなで取引や支払いをしていれば、そのうち国が法整備をして大手企業が仲介してくれるという前例を作ってしまったからです。
ゲーム内での仮想通貨・アイテム・キャラクター・アカウントなどを売買するRMT(リアルマネートレード)は法律的にグレーな分野とされているのに、似たようなものである仮想通貨に対しては政府が正式に取引を認めてしまいました。
規制が入るということは決済手段として正式に認められたという形になり、当局のお墨付きを得て合法的に売り抜けできる経路が開いたのです。
規制が入るまでは詐欺・犯罪をやり放題ですが、決済手段として認められた前例がある以上もはや発行自体を制限するわけには行きません。
だったらその電子通貨とやらを次々に生み出して、どれかが「当たる」つまり国に登録された交換所で売買されるようになるまで宣伝を続ければよいのです。
ということは、通貨偽造の罪に問われることもなく通貨発行益を得られる抜け穴ができたということす。

私の考えとしては、いわゆる仮想通貨に対して法律や登録制度を作る必要はなかったと思いますよ。

「これらは自分で勝手に通貨だと言い張っていますが、ただの電子アイテムに過ぎません。当然、日本政府としては保証も保護もしません。詐欺や犯罪の温床になりやすい世界ですから気をつけて下さい。でも監視は続けてるよ。悪さした奴は容赦なくブチ込むから」

とテレビ・新聞・ネットで告知すれば済んだ話だと考えます。
当局が真面目に法律を作って対応をしたことが別の問題を引き起こし、かえって被害が大きくなるのではないかということです。


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